スペインは、ほんとにどんなところにでもワイン造りの文化が息づいているんだと
改めて思わせてくれたカンタブリアの旅。
スペイン北部は、スペインの中では冷涼な地方で、東のカタルーニャから西のガリシアまで、
ワイン造りはどこの地方でも盛んで良質なワインが多く造られ、原産地呼称DOもあらゆる所にある。
その中で、DOが全くない地方が二つある。
カンタブリア州 と アストゥリアス州 だ。
アストゥリアスではブドウではないけど、リンゴのスパークリングであるシードラが有名だ。
そして、カンタブリアは。。。。
初めて訪れたカンタブリア。
ワインはないのかと思いきや、ここでもちゃんと息づいていた!
この州にDOはないものの、VdT (Vinos de la Tierra)は二つ認定されている。
VdT Liebana
VdT Costa de Cantabria

海に近い方にのVdT コスタ・デ・カンタブリアには4生産者いるそうで、そのうちペニン・
ガイドに載っていた2ワイナリーのうちのひとつ、
「Viñedos y Bodegas Lancina」
を訪れた。
州都サンタンデールから車で30分ほどのBarcena de Cicero(バルセナ・デ・シセロ)という
村に位置するランシナ。
オーナーであり、栽培・醸造全てを切り盛りするイグナシオさん、古くからの友人を迎えるかの
ように歓迎してくれた。

心を奪われたのはその畑。
雨の日も風の日も、日々向き合いながら愛情を込めて栽培されていることがひと目でわかる畑。
左向こうにカンタブリア海を見下ろす、素晴らしい景色。
モンカリヤン山の標高220mほど、3haの畑に7500株が植わる。

飲食業でずっと働いてきて、ワインにはまり、絶対ワインを造るぞという夢を持ち、
様々なワイナリー行って勉強しながら研鑽を積み、10年前にワイナリーを創業した
イグナシオさん。
リースリングとゴデージョが植わる畑。それぞれ樹齢10年・6年。
カンタブリア州は、カンタブリア海と南のカンタブリア山脈に挟まれた細長い土地だ。
山脈にはね返される大西洋からの風で強く影響を受ける、湿潤な海洋性気候。
平均降雨量は1200mmと、植物の生長を可能にし、ゆえに「エスパーニャ・ベルデ
(緑のスペイン)」と呼ばれるほど緑がきれいな地方だが、ブドウ栽培には困難がつきまとう。
この地方で一番の問題は湿度の高さ。雨が多い。
酸を多く含む土壌、水はけの良さ、日照量が大変大事になる。
日の出から日の入りまでずっと日が当たっているこの畑は、早朝の霜による湿気を朝から
乾かしてくれるため、理想的な環境だそうだ。

ワイヤーにくるくると巻き付いているリースリングのつる。
特にリースリングに惚れこむイグナシオさん。
「リースリングはゆっくり熟し、アルコール度が上がりにくく、コクを出すのも難しい。
また、ボトリティスの問題もあったりと難しい品種。でも良い状態で実るブドウでできる
ワインは本当に素晴らしいんだ。」

「毎日見にきてるから、樹一本一本の性格がわかるし、子供がたくさんいるみたいだ」と
嬉しそうに話すイグナシオさん。

左 : 収穫時のリースリング(上)とゴデージョ(下)
右 : ランシナ 2008
名称 : Lancina 2008
品種 : Riesling 60%, Godello 40%
産地 : VdT Costa de Cantabria
生産者 : Viñedos y Bodegas Lancin
エチケットの絵は、友人の方が描いたのだそう。
カンタブリアの伝統的なボーリングみたいなスポーツを描いたのだそうだ。
しっかりした酸、フローラルな香りが少し経ったら出てきた。
柑橘系。シュルリーでタンク熟成。クリーミーさ、ハチミツがかすかに。
ゴデージョの重みとリースリングの華やかさとのバランスが取れている。
爽やかさ、酸のしっかりした、ミネラリー、確実に今まで飲んだスペインの
どのリースリングとも異なる北で造られるスタイル。
時間が経ったら、桃の味わいも。
最初はゴデージョの清々しさ、心地よい苦みが、そして時間と共に
リースリングが主張してくる。
1年以上経っても爽やかさを失わず、きれいな酸でまだまだ耐える印象。

共に運営する奥様マリアさん。
気さくなお二人と、旦那と、美味しいワイン片手に時間も忘れておしゃべり。
生産量10000本ほど、1銘柄のみを造り、ほとんどカンタブリアで消費してしまうという。
とにかくブドウ栽培が大好き。ワインを造るのよりブドウを見守るほうが大好き。
53歳だというから、43歳で新しいことにチャンレジし始めたイグナシオさん。
夢に賭ける情熱、いつだって遅くない。
恐れずにチャレンジして10年経った今、素晴らしいワインと共に、人生最高の瞬間を
楽しんでいるイグナシオさん。すごく眩しかった。
感動をありがとう。

かの有名な「アルタミラ洞窟」。奥に見える小さな穴がそうだとのこと。
博物館でレプリカを見た。約18,000〜10,000年も前に描かれた野牛、馬など。
圧巻。。

カタルーニャの外で唯一というガウディの建築「エル・カプリッチョ邸」。

カンタブリアの海に接した岩場にある洞窟を利用して造られた僧院
「エルミタ・デ・サンタ・フスタ」
潮が引いている時だけその僧院への道が開けるという、興味深い場所にある。
サンタ・フスタが本尊で、8〜10世紀には、恐らくイスラム支配により、セビーリャから
逃れてきたキリスト隠者が住んでいたと言われている。
どこから行くにも遠く、山と海に挟まれてそこまで観光地化していず、
穏やかで魅力的な土地、カンタブリア。
また来たいな。






