DO VALENCIAの最近のブログ記事

ワイナリー入り口
以前ブログで綴って以来、ずっと行きたかったバレンシアのワイナリー「セイェル・デル・ロウレ」。
前の記事のペニスコラを後にして、バレンシアを越え、南西に40kmほど
行ったところ、限りなくアルマンサに近い場所にワイナリーのある村Moixent(モイシェン)はあった。

ワイナリーのパブロ&サンドラさん、本当に温かく迎えてくれまして。

バレンシアも他のスペインの産地と同じようにワイン造りの歴史は長い。
でも19世紀末のフランスのフィロキセラ禍によるブドウ需要の高まりで、特にバレンシアは、
共同組合が増え、権力を増し、質重視に変わるのが遅かったそうだ。
昔は、山の麓の標高の高い斜面の畑だけがブドウ畑だったのが、共同組合は、肥沃な谷間(平地)
にもどんどん畑を拡大したそうだ。

それが2000年頃を契機にやっと今変わってきていると。
特に、パブロのワイナリーがある、モイシェン(Moixent)と、フォンタナルス・デルス・
アルフォリンス (Fontanars dels Alforins), ラ・フォン・デ・ラ・フィゲラ (La Font
de la Figuera) という三つの村をつなぐ三角地帯は、DOバレンシアの中でも、高品質
ワインを造る場所として、パブロのような、最高のワインを造ろうと情熱を持つ、
こだわり生産者が数社出現、切磋琢磨しているのだそうだ。

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Moixent周辺の土地を上空から見ると、白い土壌が多いことがわかる。
バレンシアから南下して内陸のほうに入っていくと標高が上がっていく。
標高の低い谷間や平地では、大麦畑が青々と茂っていた。
その土壌は、粘土質、石灰質を多く含む肥沃な土地。

更に標高を560mまで上がる、パブロのワイナリーがある三角地帯は、上層(地表)
は砂質、下層は砂利石で、ミネラル豊富で、有機質の乏しい土壌で、良質のブドウが
栽培される地帯なのだそうだ。

あくまで参考だけど、確かにスペインの権威あるワインガイド「ペニン・ガイド2010」で、
DOバレンシアで91点以上が12アイテムあるが、うち、8アイテムはこの三角地帯にある
生産者のものだ。

パブロさん
パブロ。モナストレルの畑で。

イベロ族居住区
パブロのワイナリーのすぐ近くの小さな山の頂上にイベロ族居住区があり、見せてくれた。
紀元前4世紀、鉄器時代に南からやってきたといわれるイベロ族。北からやってきたケルト族と
融合して、ケルト・イベロ族に、これがスペイン人の起源といわれているそうだ。

イベロ族居住区2
そのイベロ族、この地に1200人もの人口を持つ、城壁で囲まれた大きな居住区を作ったそうで、
その当時から使われていたワインを貯蔵・運搬するための壺を「アルクサ Alcussa」 と
呼んだのだそうだ。

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遺跡をほんとに丁寧に詳しく説明してくれた方。(お名前が。。。すみません。。)

アルクサス
実際に、遺跡から、当時行われていた商業(ワイン、狩猟、野菜などの物々交換)に
使われていたと思われる、文字が書かれた鉛板が発掘されており、その文字が、
ワイン「アルクサス」のデザインになったのだそうだ!
長い歴史を感じるデザインなのだ。

名称 : Les Alcusses 2006
品種 : Monastrell 50%, Syrah 15%, Merlot 15%, Cabernet Sauvignon 10%, Tempranillo 10%
産地 : DO Valencia
生産者 : Celler del Roure

モナストレル種が主体。
フランスのムールヴェドル種と同種でフランス原産種かなと思いきや、バレンシアからちょっと
南のアリカンテ、ムルシアが原産。この地域一帯の主要黒ブドウ品種。
芳香豊かでアルコール度の高いワインになるモナストレル種。そのエキゾチックな芳香そのまま
に、他の品種とブレンド、なめらかで爽やかさも持つ赤で、とても飲みやすい。

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名称 : Maduresa 2006 (写真左)
品種 : Syrah 25%, Mandó 25%, Monastrell 15%, Merlot 10%, Petit Verdot 10%
産地 : DO Valencia
生産者 : Celler del Roure

もう一つのこの土地のミステリアス品種、マンドー種。
品種については、以前ブログで少し綴ったのでよかったらご参考までに。

熟した赤果実、樽、しっかりした酸、凝縮感があり、バランスがよく、これも爽やかさが
あって、すごく飲み心地の良い赤。芯の強さを感じる。

壺が埋まった地下セラー
そして、500年以上前からあるという地下セラー!
中に入ってその長い歴史に触れた瞬間呼吸するのを忘れたほどで(笑)。
1000リットル、2000リットル容量の壺が50以上埋まるセラーで、ワイン造りに使われていたという。
パブロは今後更に研究を重ね、この壺で熟成したワインも使って、そして更にマンドー種や
モナストレル種を活かして、この土地ならではの、伝統の、パブロにしかできないワインを造って
いきたい、と話してくれた。

マンドー
マンドー種。
絶滅しかけていた品種だが、パブロが同志と研究を重ね、復活させたいと思っているのは、
古い樹齢の放置された畑を見て回って、適正に栽培すればよいワインができると確信して
いるから、と。

ハーブ
敷地内にある林に茂るハーブたち。
tomillo (タイム)、pebrellas (なんだろ、これ。。)、romero (ローズマリー)

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田舎宿Mas Monserratのオーナー、ホセ。
(右は旦那でして。。)
とても温かいステキな宿。
生産者とこうした宿、レストランが情熱を持ってワインツーリズムを盛り上げている!

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ヒヨコマメや腸詰、ガーリックなどのバレンシアのお米料理。
ボリューム満点!ガッツリいただいた!
この土地のワインと、この土地の料理、やっぱり合うなぁ。

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そして、もうすぐ結婚するパブロとサンドラ。
幸せだぁ〜!おめでとう!

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イベロ族居住地遺跡から。
バレンシアっていい所だなぁ〜。。

感謝。

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このエチケット、恐らく、今まで飲んだ・目にした全てのワインの中で、
一番忘れられないものだと思う。
出会ったのは3年前、お店の人に薦めてもらったのだけど、穴が開いて、ブドウの形を
成しているだけのシンプルなデザインなのだけど、その簡単そうで思いつかない斬新さと、
インパクトの強さに、ちょー感動したのを覚えている。
ワインが並ぶ棚の中でひときわ目を引くデザイン。
デザインにもこだわるワイナリーは、良いワインを造る、これ、絶対あると思う。

このステキなエチケットのワインを造るのは、バレンシアのセイェル・デル・ロウラ。

バレンシアでは、2000年以上前からワイン用ブドウ栽培が行われ、19世紀には、
アグワルディエンテ(蒸留酒)用、ブレンド用として大量にワインが流通していたという。
DO バレンシア、スペイン最大の輸出量を誇るのだそうだが、近年では、「質より量」から
「量より質」の時代へと脱皮、モナストレル、ガルナッチャ種を主とした高
品質の赤ワインが多く造られるようになった。

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セイェル・デル・ロウラは、バレンシア南西部、地中海から50kmほど内陸に入ったところに
あるモイシェン (Moixent) 村に位置するワイナリー。
1996年創業、家族経営のワイナリーで、オーナーあり、農学技師であるパブロ・カラタユ氏が
2種の赤を造る。標高550mほどの丘陵地に60haの自社畑を所有、粘土質・砂質土壌で、
ミクロクリマに恵まれた最適な環境でブドウを栽培、2000年のファースト・ビンテージから
2004年まで、プリオラート・モンサンでDidoなど、素晴らしいワインを造る醸造家サラ・ペレス氏を
コンサルタントに迎え、ワイン造ったそうだ。
外来品種も栽培するが、地ブドウ、モナストレル種、そしてほとんど絶滅しかけていた地ブドウ、
マンドー種も栽培、伝統を大切に、その土地ならではの個性あるワイン造りをしている。

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名称 : Les Alcusses 2006
品種 : Monastrell 50%, Syrah 15%, Merlot 15%, Cabernet Sauvignon 10%, Tempranillo 10%
産地 : DO Valencia
生産者 : Celler del Roure

ステンレス槽で12日間マセラシオン、圧搾、MLF、フレンチオーク樽(2〜3年目)で3か月熟成
キイチゴ、チェリーなど熟した果実香が豊かで、それに樽が軽やかに寄り添う、
バランスが良くて、元気をもらえる赤だ。

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名称 : Maduresa 2006
品種 : Mandó 25%, Cabernet Sauvignon 25%, Monastrell 15%,
Syrah 15%, Merlot 10%, Petit Verdot 10%
産地 : DO Valencia
生産者 : Celler del Roure

ステンレス槽で20日間マセラシオン、圧搾、MLF、フレンチオーク樽
(2〜3年目、225・500ℓ)で10〜12ヶ月熟成

熟した赤果実、樽、しっかりした酸、凝縮感があり、バランスがよく、上品で、
爽やかさも伴い、すごく飲み心地の良い赤。
ペニン・ガイド09では93点と、DO バレンシアで最高の評価を得ている。

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ピジャージュ。パブロ・カラタユ氏。

そしてこの「マドゥレサ」に使われている地ブドウ、マンドーとは。
この品種に関する情報は非常に少ない。
このワイナリーがスペインで最もこの品種について研究しているようだ。

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マンドー種。
(ワイナリー提供資料から)

20世紀前半には、ワイナリーのあるモイシェン地区を中心に、バレンシア、そして
アリカンテで、かなりの量が栽培されていたらしい。今でもこれらの地域の主要品種で
あるモナストレル種と共に、マンドー種も主要品種だったようだ。
良質のワインになる品種で愛されていたが、バルク売り用の安価ワインを大量に造る
共同組合が増えた時代には、栽培・醸造に難があることで使用されなくなり、栽培面積が
激減したという。
その品種を研究・復活させるべく、セイェル・デル・ロウラは、バレンシア工科大学と共に
研究を続けているのだ。
エノロゴのフアンさんは、マンドー種は、ガルナッチャ・ティンタとモナストレルの中間位の
特徴の品種だという。果実は小さく、ウドンコ病や干ばつに弱く、できるワインは、
香りの強い、濃い色調で、上品さ、深みがあり、タンニンも丸く滑らか、長熟に向く。
そして、60〜80年の樹齢というマンドー種は、その土地の特徴やミネラルをキレイに表現
してくれる大事な品種と見なしている。

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このマンドー種の仕立て方が大変興味深い。
「竪琴の形状をした仕立て方」と呼んでいるのだそうだ。
最初に植樹した際には、垣根式で、列ごとの間隔が開きすぎて、樹勢が強くなりすぎたため、
その樹勢のバランスを取るため、一本の樹からあたかも2本になっているかのように、
樹を這わせたのだそうだ。そうすることで、樹同士が競争して、より深く根を張り、房も
実も小さく、凝縮度の高いブドウができるのだそうだ。
また、この仕立て方で、葉がより多いため、光合成が多くされ、また、暑い地域なので、
直射日光が果皮に当たって、焼けてしまうことを避け、適度な湿度も保つことができる。
伝統的な株仕立てと似た状態になるとのこと。

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更に、この土地のワイン造りの長い歴史を感じさせる「ボデガ・フォンダ (bodega fonda)」。
ワイナリー敷地内で発掘された、おそらく15世紀頃に造られたとされる、地下セラー。
昔は、ブドウを足で踏んでピジャージュし、発酵してできたワインを粘土でできた壺で
貯蔵していた。その壺がいくつも並ぶ。
20世紀中盤頃まで使われていたらしいこの伝統的なセラーも、復活させるべく、ワインの
一部を今年から、壺で熟成させて、どんな仕上がりになるか研究するのだそうだ。

ブドウ栽培、ワイン造りに対して真剣な姿勢で取り組むワイナリー。
外来品種などは樹齢15年とまだ若いものが多いが、造られるワインは既に世界的に
高評価を得ており、サン・パウ、カン・ロカなど、ミシュラン星つきレストランでも供され、
今後の成長もとても楽しみなワイナリーだ。

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