DO COSTERS DEL SEGREの最近のブログ記事

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ラウル・ボベ

ピレネー山脈 1000 m の地の
そしてプリオラートの山奥の僻地で
ワインを造っている造り手だ。
実に 30 年前からワインに関わり、スペイン
ワイン史において重要な位置づけにあるペネ
デスのトーレスで 16 年間醸造に携わった。
ラウル氏と一緒にいると自分は何て落着きが
ないのだろう、といつも恥ずかしく思うほど
仏さまのように微笑みをたたえ、なにものに
も動じず、海のように広く深い知識と経験に
支えられ、物事の真理を見極めようとする
「智慧」を持つ。
それだけ広く深い知識・経験があってそれで
いて全てから自由でいる感じの。

醸造、栽培、ワイナリー設計、経済、食物、、とにかくあらゆることに精通して
いるラウル氏。15年前には 8 年間経済面を絡めたワイナリー設計をタラゴナ県の
ロビラ・イ・ビルジリ大学醸造学部で教えたり、世界的に権威ある醸造・栽培に
関する国際会議に講演を依頼されることもしばしば。
それもあると思う。
頭の中が全て引き出しなっていて、分野ごとにキレイに整理されていて、しかも
引き出しにはカギがかかっていない。そのテーマが取り上げられた瞬間に引き
出しが開き、どんな問いに対しても瞬時に明快な答えが返ってくる。

そんなラウルだからこそ可能だったフィロソフィー。
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雹が降ったり厳しい気候の高標高の地でワイン造りを。

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12 世紀にこの地に住み始めた従軍僧侶
たちが 17 世紀頃まで自然の大岩を削っ
て作った岩の発酵槽でワイン造りをして
おり、ラウルもそれを使ってワイン造り
をやってのける。











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リースリング、ソーヴィニヨン・
ブラン、ピノ・ノワール、シラー
などなど、彼が魅了され、この地
に適植と見なす品種で、この環境
だからこその表現を追求する。









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ラウルにとってはどこでも研究室になる。
お寿司を食べていても、凍結酒がふるまわれると興味をそそられ、
書き始める。化学式や色々を。
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美味しい日本酒を何種類か飲んでいると、書き始め、色々試したくなる。
そんなラウルを見ていると、とにかく質問したくなる、笑。

それは皆さん同じで、色々な方々がした質問へのラウルの回答をここに
少しまとめてみる。

【リースリングのぺトロール香とゴム臭について。】
 - 全くの別もの。
    ぺトロール香は加水分解反応によって生成される炭化水素(=石油)が
   出す香り。リースリングは酸が高い(pH が低い)品種。酸が高いと、より
   加水分解する。よって、リースリングの持つ香りの前駆体に炭化水素を生成
   する分子が多く、その炭化水素が石油のような香りを発する。冷涼な年は
   更に酸が高くなるため、より炭化水素を生成する分子が多くなりよりぺト
   ロール香がしがち。また、貴腐(腐敗)ブドウを使うことで、分解した
   果皮が多くなり、その分解した果皮の香りの前駆体から炭化水素が生成され
   るスピードがより速くなり、若い状態でもぺトロール香がする。
   加水分解は水、酸、時間が必要なので、時が経つにつれてより出てくる。
    ゴム臭は、硫黄系物質由来の臭い。知覚境界値 6ppm = 6mg/L という
   極少量で強く臭う成分。この臭いが発生する原因には 3 つある。
   ① 畑で硫黄散布の量が多い場合
   ② ブドウの栄養素不足 暑い年や高収量などによる
   ③ 固形が多い場合  澱を長い間寝かせる場合など。
    澱や果皮などの固形物が多いと、ワイン中に存在する遊離アミノ酸や
    ビタミン、エルゴステロールが低下し、それが酸化還元電位を高め、
      硫黄系物質が生成され、還元する。

  ぺトロール香に関しては、品種特性ではなくドイツの川沿いの斜面の日照
  量が多く粘板質土壌で水はけがとても良い環境で不足ストレスを感じる
  リースリングに特に出ると張する専門家もいるが、それも1つの要素では
  あるが、加水分解反応が一番の要素だろう。
  ぺトロール香ひとつとっても様々な要素が絡んでいるから一概にこれが
  由来、とは言えない。

【ミネラルとは。】
 - ミネラルの成分がある訳ではないが、関連する要素がある。
    土壌が樹を伝わって感じさせるもの以外の要素として、
  酸の高さ、pHの低さ、スパイシーなニュアンス、ジャミーとは反対の
  特徴(= 冷涼さ)etc。こうしたニュアンスがミネラルを感じさせる。

【アルバリーニョが持つ「塩」のニュアンス。】
 - リースリング同様、アルバリーニョも酒石酸、リンゴ酸、乳酸などの
  酸がとても高く、それがカルシウム、カリウム、ナトリウム、マグネ
  シウムなどの陽イオンと合体すると塩味が際立つ。若い時よりも時間を
  経るとよりそのニュアンスが出てくる。リアス・バイシャスのように
  海沿いにある産地だけでなく、他のエリアでも塩味は感じられ、アル
  バリーニョの品種特性と言える。海風の影響も一部にあり得るので
  リアス・バイシャスのアルバリーニョに塩のニュアンスが多く見られ
  るのは確かだ。

本当に、、どんな質問にも体系立てて丁寧にわかりやすく説明してくれる
ラウル先生。若い時から偉才を発揮し、実家が農家だったことから、食卓には
いつもワインがあったから自然とブドウ・ワインへと関心が高まり、スペインで
初めてドイツ(エゴン・ミュラー)で収穫の経験を積む。25歳でナパ・バレーの
ハーラン・エステートでも栽培・醸造を務めた。カステル・デンクスのプロジェ
クトは 7 年間、毎週末通い詰め土地を知り尽くした後始めたものだそう。
スペインのワイン界ではラウルのことを現代のレオナルド・ダ・ヴィンチと呼ぶ
人もいる。

いろんな気づきを、もらう。

ミネラルに関していえば、ラウルの言うような要素がよりミネラルなニュアン
スを引き出すのであれば、スペインやイタリア、南アフリカなど地中海性気候の
暖かい産地でも近年過熟しないブドウで抽出の低い、酸がしっかりあり冷涼さの
あるワイン造りがよりされるようになってきているからこそ、より多くのワイ
ンにミネラルのニュアンスが感じられるようになっているのかもしれない。
簡単にミネラルという言葉を多用し、ミネラル = テロワールとは安易すぎるし
ミネラルの質をきちんと感じてあげることが大事なのだ。

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最近ラウルが造ったタイカ。
メトド・アンセストラルの泡。

名称 : Taïka 2011
品種 : Pinot Noir 70%, Semillon 20%
         Riesling 10%
産地 : DO Costers del Segre 
                             (Pallars Llusa)
生産者 : Castell d´Encus

収穫期は他のワイン用と変わらず12%
ほどの潜在アルコール度で収穫。
プレスし、アルコール発酵、途中で糖が
21~26g/Lの時点で発酵を止め、ワイ
ンを2℃に冷却し瓶詰め、発酵が完了し
熟成2年間。

この醸造方法を取ることで、瓶内二次発
酵とは異なり早めにブドウを収穫しない
分、ブドウ本来の香り成分が豊かになる。シャンパーニュは寒いエリアで、しかも早め
に収穫するため、ワインに複雑み、深みを出すにはヴィンテージをブレンドしたり長熟
によるオートリシスが重要となる。温暖さがあり、ブドウがしっかり熟す環境がある
スペインではブドウ本来のピュアさを表現できうる点でこの醸造方法が魅力的だ、
とラウルは語る。
日本語で「大化(変化)」、リトアニア語で「自然」、フィンランド語で「平和」を
意味するという「タイカ」。ラウルらしいネーミングだ。
ブドウの凝縮感と自然の甘み、冷涼地の酸、全てがナチュラルでピュアで、柔らかい
繊細な泡に包まれてバランスが取れている。個性とバランス。

最後にラウル語録を。

『化学は知った上で、化学を使わずにワイン造りに携わることが大事。』

『ワインは文化。詩を楽しむのと同じだ。背景に何があるのか。どんな想いが
こもっているのか。どの場所なのか。そういうことがわかればワインはもっと
楽しい。』

『選択酵母、樽、過熟、未熟、人工酵素、、、ブドウの本質がワインに表現
されるためにはブドウを殺してはいけない。

『静寂はあらゆる中で最上の音である。』

ブドウの本質もだけど、ラウルの人となりもワインには表れている。

ちなみに、ラウルの来日については、色々なご質問をくださり、国や産地関係
なく良いものは良い、と世界中のワインを扱われているイーエックスセラー
さんのブログにも詳しく書かれている。



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「リースリングは冷涼な気候が必須で、加えて気
候や土壌をものすごく反映する品種です。
ワインは飲むタイミングによっていくつもに顔を
変え、非常にダイナミックな品種でそれがリース
リングをテイスティングする難しさでもあります。
化学的見地からしてもあらゆる品種の中でリース
リングが最も複雑で素晴らしく、学者にとっては
たまらない品種です。」

こんなコメントができるのはかなりの学者肌な方、

そう、ラウル・ボベ氏(笑)

リースリングはスペインではなかなか良いものが
できない。でもラウルさんが 1000 m の地で造
るリースリング、別格だ。



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「リースリングという品種に対す
る研究は実に30年前から行われて
いて、ドイツ人らしく非常に深い
研究がされてきています。既に60
種以上のクローンが解されており、
綿密な研究報告が多くされていま
す。テンプラニーリョなどスペイ
ン品種はそういう研究まだまだ不
足してますよ~。」

と目を輝かせて語るラウルさん、笑。



テイスティングしたのは
1. Henschke   Eden Valley (Australia), Julius 2011
2. Pichler F.X. Wachau (Austria)  Federspiel Burgstall 2011
3. Domaine Alice Hartmann, Moselle Luxembourgeoise (Luxembourg)
                   Wormeldange Koeppchen "Les Terrasses" 2011
4. Craggy Range, Martinborough (New-Zealand)  Te Muna 2011
5. Marcel Deiss, Alsace (France), 2010
6. Plantagenet, Great Southern (Australia), 2010
7. Ste Michelle & Dr. Loosen, Columbia Valley (USA)  Eroica 2010
8. Castell d'Encus, Costers del Segre (Spain), Ekam 2010
9. Bassermann-Jordan, Pfalz (Germany)  Forster Freundstück 2008
10. Elena Walch, Alto Adige/Südtiroler (Italy) Castel Ringberg 2008
11. Villa Maria, Marlborough (New-Zealand)  Cellar Selection 2008
12. Markus Molitor, Mosel-Saar-Ruwer (Germany) 
                                Zeltinger Sonnenuhr Spätlese Trocken 2007

リースリングは貴腐を使っているか使っていないか、残糖レベルの違いに
よってスタイルも多様化する。
すごく印象に残ったワインはドイツが揃った。

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名称 : Forster Freundstück 2008
品種 : Riesling 100%
産地 : Pfalz, Germany
生産者 : Bassermann-Jordan

ドイツを代表する生産者バッサーマン・ヨル
ダンのフォルスター村のリースリング。
残糖 15 g/L
ハチミツ、滑らかさ、複雑味、ミネラル、
すごくエレガント。若い時はとても閉じてい
ただろう、5 年経ったからこそのこの素晴ら
しい味わい。とても深い。





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名称 : Zeltinger Sonnenuhr 2007
品種 : Riesling 100%
産地 : Mosel-Saar-Ruwer, Germany
生産者 : Markus Molitor

こちらも非常にリスペクトされている造り手
の一つ、マルクス・モリトール。
貴腐ブドウの一部使用や澱で寝かせることが
主だったこれまでもリースリングのワイン造
りに反旗をひるがえし、テロワールを表現す
ることに集中した造り手。

柑橘系、リンゴ、フローラル、果実の凝縮感、
複雑味、繊細。こういうリースリングはすご
く好き。



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そして、ラウル・ボベさんのリースリング

名称 : Ekam 2010
品種 : Riesling 100%
産地 : Costers del Segre
生産者 : Castell d'Encus

ピレネー前山標高 1000 mの地で造るリース
リング。柑橘など厚みがある味わいで酸がと
ても際立っている。香りの表現は少し控えめ
なのは、この年まで雹害の影響を大きく受け
ているためブドウの成熟に難しさがあったそ
う。でも酸の存在感は素晴らしく長熟のポテ
シャルがすごい。



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それに比べて 2011 はネットを
使った雹害対策により、よりボ
リューミーで、フルーティ、
とのバランスもとれて重心は
2010より低め。

スペインでここまでのリースリ
グは、本当にすごい。

雪深い厳しい環境で栽培される。




ニューワールドのワインは、酸度、pH、残糖のデータ上でのバランス、完成度の
高さを追及してキッチンで料理をするような感じで造っているのが多いよう。
そして確かにぺトロール香をニューワールドのワインに感じやすい。

「ブドウの果皮に生成されたカロチノイドの分解によって生じる TDN という
物質がぺトロール香の正体ですが、ブドウの成熟レベルが高くて果皮が厚い、
水ストレスが高い乾燥した産地、温暖な向きの畑などは濃度が上がる条件と
なるためです。」
とラウルさん。

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ラウルさんが依頼したリースリン
グコレクションはスペインでは手
に入らない代物ばかりで(笑)
モンビニのイサベルさんが世界中
からこの日のために集めてくれた
ものばかり。
本当に面白いリースリングの旅
だった。

ところで、ヴィノテーク誌など様々
なメディアにドイツワインを主に
寄稿されているワインライターさ
ん北嶋裕さんのリースリング考、非
常に興味深いので関心ありました
ら、是非。


 

 

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カステル・デンクスから

フェイスブックを通じて

冬の便りが届いた。

 

カタルーニャ州の内陸ピ

ネー山脈標高1000mの

地で、16年以上トーレス

で醸造責任者を務めてき

た天才醸造家ラウル・ボ

ベ氏が素晴らしいワイン

を造る。

冬はこんなに雪が降る。

神秘的だけど作業をする

にはとても厳しい環境。

 

リースリング、ソーヴィ

ニョン・ブラン、シラー

などで造る彼のワインは

スペインの今までのそれ

                                 

raul.jpgらのワインのイメージを覆すクオリティを持ち、

2008が初ビンテージという新しいワイナリーにも関

わらず世界中から注目を集める。

標高の高さだけではなく、品種、栽培、土壌、環境、

醸造について知り尽くすラウル氏だからできること

なのだ。

その彼がピノ・ノワールのワイン造りを始めた!

造り手なら誰もが造りたいと思うとても難しい品種。

2008にトライアルを始め、2009ビンテージは1200

本ほど造ったそうだ。

「どんなに知識があっても新天地ではゼロから自然と

向き合い学んでいく必要がある」とラウル氏。

その知識・経験に奢らない謙虚さが良いワインを造る

のだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

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名称 : Acusp 2009
品種
: Pinot Noir 100%
産地
: DO Costers del Segre
生産者 :
Castell d'Encus 

 

アクスプ2009 すごいなぁ。。

スペインのピノの概念を壊してくれる。

まだまだこれから年を追うごとに素晴らしいピノを

造ってくれるだろう、と期待させてくれるピノだ。

 

また楽しみなワインが増えた!

 

 

 

先週、以前紹介したピレネー山脈標高1000mの地でワイン造りをする造り手
カステル・デンクス
にお邪魔してきた。
ちょうど収穫期で、作業をお手伝いしながら学ばせてもらえたらということで、
ラウル・ボベさんが親切にも了解してくれたのだ。
結局忙しいところ、邪魔にしかなってなかったな、笑。。。

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朝、澄みきった空気。醸造所を望む。
17℃とこの季節にしては、標高の高い山の上なのに気温が比較的高くて、湿気も多いのが
感じられる。
「こういう日は夏の終わりの典型で、翌日は雨が降って気温がぐっと下がることが多いよ」
とラウルさん。

収穫期は醸造所内も畑も一番活気がある。
ブドウ収穫から、醸造所に運び冷却、選果、プレス、マセレーションなど最初の醸造工程が
どんどん行われる。

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ブドウ搬入場の横では、昨日収穫されてきたソーヴィニョン・ブランの選果最中。
タレイアに使われるブドウだ。

私も邪魔しながら少しお手伝いさせてもらったのだけど、選果って意外と難しいのだ。。。
まだ未熟の濃い緑色の果粒、そして未熟の緑色だけど雨が多かったために腐敗が始まって
いる緑紫灰っぽい色した粒が一番不快な味を出すため、それは除去しないといけない。
白ブドウに関しては、果皮・種とマストが接触する時間が短いため、例えば多少果梗が混ざっ
ていてもレーズン化して乾燥した粒が混ざっていても問題はない。そういう優先順位があって。
熟練の作業員さんばかりで上手に選果しているのだけど、私だけおたおた。。。

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これ、雹害のダメージをうけたブドウちゃんたち。。。
標高の高い冷涼な北の地。雹害も珍しいことではない。
打撃を受けた部分が腐敗して。。。これも除去。。

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ピノ・ノワールの収穫。2008が初ビンテージの新しいワイン、ピノ100%の赤「アクスプ」に
使われる。

そう、カステル・デンクスでは白のみならず、シラーやピノやカベルネ・ソーヴィニョンなど
赤も造る。そのどれもがスペインで1,2を争うと言える素晴らしいクオリティなのだ。

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畑では収穫期が一番緊張感が増すのかと思っていた私。
「確かに緊張感はあるのだけど、一旦収穫のタイミングを見極めればあとは適切に収穫
するだけ。収穫時じゃなくてその前までの作業のほうが全然緊張感があるよ。」と畑を
管理しているルベンさん。
良いブドウを得るまでの継続的な努力は並大抵のものではないんだろうな。。

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雨が特に多かった今年、ピノ・ノワールの畑の一部で少し腐敗が始まってしまっていて、
ラウルさんがスタッフに「ちょっとでも腐敗しているブドウは全部はじけーーーーっ!」と
指示して回っていた。搬入されて来て2日間0℃で冷却、果実、フローラルな味わいをより
抽出するためだという(他の品種の冷却は1日以下)。2度の選果でピノは最終的に収量の
50%しかワインにならないという。。。今年はブルゴーニュも雨が多く、成熟に必要な
暑さも不十分で選果がとても大事になる年だという。

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ラウルさん、エノロガのミレイアさん、スタッフさんが真剣に選果中!

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はじかれたピノ。少しでも腐敗している実があれば房ごとダメ。。ほんとに厳しい。。

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ラウルのお父様も収穫のお手伝い。

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カタルーニャテレビ TV3 の ニュース番組 (4'44) に生放送で紹介するためにクルーが来ていた。

私が試しに撮った選果風景のビデオもYoutubeにアップしてみました。
インタビューとか全然なく風景だけの初心者ビデオですが。。。

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名称 : Acusp 2008
品種 : Pinot Noir 100%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Castell d'Encus

初ビンテージ2008で200本ほどトライアルで造って。2009が約1200本リリース、2010は4000本
ほど造る予定とのこと。2008は、酸が少し足りない印象だけど、これがスペインのピノ?と
思えるほどの冷たさ、緻密さ、エレガンスを伴ピノ。
これからどんどん良くなってやばい長熟のピノになっていくのではと期待させてくれる、
間違いなくスペインNo.1のピノ。

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名称 : Thalarn 2008
品種 : Syrah 100%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Castell d'Encus

こちらは、シラー100%の赤。
岩・オーク・ステンレスの3種類のタンクで発酵後、フレンチオーク新樽でMLF、13ヶ月熟成、
ブレンド。溌剌とした果実、スパイス、しっかりした酸の素晴らしいシラーだ。

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ラウルさん(左)と弟ダビ(右)さん。がっつり握手!
スタッフさんと家族と、みんなで一丸となって働いている。
大変だけど、イキイキとした表情のみなさんに、心から「お疲れ様!」。

スペインの環境でリースリングやピノ・ノワールなど北のブドウで良いワインが造れる、とは
今まで飲んできた中ではなかなか納得できていなかった。この造り手に出会うまでは。。。

去年から日本に入っているフェレール・ボベは、スタンダードキュヴェ2005ビンテージが
スペインの最も有名なワイン専門誌「シバリタス」2009年4月号で、2008年のワイン・オブ・
ザ・イヤーに輝き、一気に注目され入手困難になったことは記憶に新しい。

造り手は、
ラウル・ボベ氏。
あまり聞いたことがない名前だけど、あのスペイン一有名な生産者トーレスで16年以上醸造
責任者として活躍してきた人物だ。

そのラウル氏、出身地であるカタルーニャ州ジェイダ県の標高1000mの土地で新たなワインを
造り始めた。世界的な温暖化に対応するため、自分の目指すスタイルのワインを造るために、
標高が高く冷涼なだけでなく、ブドウがきちんと成熟する環境があるか、日照量、ミクロ
クリマ、土壌、全てに納得できる場所を見つけたかった、とラウルさん。

カステル・デンクス」というワイナリー。

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DOとしてはコステルス・デル・セグレに当たる。
同じDOと言っても、地図でわかるように大きく5つの地区に分かれていて、それぞれ特徴が異なる。
カステル・デンクスが位置する最北のパジャルス・ジュサという地区は、ピレネー山脈手前の
山の斜面にあり、気候も環境も他の地区と全く異なる。本当は同じDOとしないほうがいいの
だろうが、このパジャルス・ジュサ地区にはワイナリーが3つしかなく、独立したDOにはなり
得ないとのことで、コステルス・デル・セグレに属しているのだそうだ。

2008が初ビンテージの新しいワインたち。
最初にリリースされたのがリースリングとソーヴィニョン・ブランの二つの白だった。

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名称 : Taleia 2008
品種 : Sauvignon Blanc 80%, Semillon 20%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Castell d’Encus

これを初めて飲んだ時、ショックを受けた。スペインでこういう白ができるのか、と。。
なんでかわからないけど飲んだ瞬間小さい頃新潟でつららを舐めて遊んでいたことが頭をよぎった。
この素晴らしい酸、北のソーヴィニョンの印象、ミネラル、複雑さ、ポテンシャル。。
セミヨンが少しブレンドされていることで口の両側で感じるが酸がキレイで、色んな料理に
合わせやすい白。ブドウの30%をフレンチオーク樽で5か月ほど熟成させている。
生産量約8000本。

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こんな場所にある。

北の地で標高が高いため、雹や氷結、霜の被害のリスクも高い。
「標高が高いから良いワインができるというわけではない。逆に難しいことのほうが多い。
完璧に適した場所を選ばないと良いワイン造りはできない。収穫期は雨が多いので、いつも
斜面を選ぶ必要がある。温度、日照量のバランスが完璧でなければならない。未熟の状態に
なるケースが多い。剪定、接木、栽培方法など、非常に注意を払ってやる必要がある。」
とラウルさん。
本当に厳しい環境で栽培・醸造に両方に深い知識・経験がないとできないということを実感。

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冬にはこんなに雪が降る。

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ラウルさん。
95haの敷地内に、林を多く残し、23haを畑にし、南向きの斜面に畑があり、北風からブドウ樹を
守る。栽培品種はアルバリーニョ、リースリング、ソーヴィニョン・ブラン、セミヨン、
ピノ・ノワール、シラー、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、プティ・
ヴェルドなどを栽培。その他、チャレッロ、ガルットなどの土着品種も試験栽培している。
殺虫剤、化学肥料は一切使わない自然派。

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醸造設備は最新のものを揃え、重力を利用した設計。ワイナリーとしては初めての、4kmに
及ぶ管を地中に埋め地熱発電を行い、省エネ・環境保護にも力を入れる。

名称 : Ekam 2008
品種 : Riesling 82%, Albariño 18%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Castell d’Encus

そしてリースリング主体の「エカム」。
間違いなく今まで飲んだスペインのリースリングで一番。

ボリューム感と共にドイツのリースリングのようなシャープな酸とエレガンスがある。。
素晴らしい。。。
アルコール度12.9%、総酸度7.6g/l、pH 3.13
スペインでは驚きのデータ。。

興味深いのは一部のリースリングが貴腐化したため、1%分の貴腐ブドウを低温熟成し、
ブレンドしている。アルバリーニョは、リースリングが腐敗に弱く、失われてしまう
フローラルな部分を補う役割を果たしているそうで、ビンテージによって割合は変わる。
抜栓してそのままコルクをして保管した状態で14日経ったものも試飲させてもらったけど、
その素晴らしいポテンシャルには驚いた。

「エカム」サンスクリット語で「unidad de los dioses 神々の一体性(エネルギー)」の意。

ラウル・ボベという人。
天才ってこういう人のことを言うのかな、と思う。とにかくあらゆる分野において博識で、
何を聞いても論理的に丁寧に答えてくれる。ラウルさんの魅力はその聡明さと共存する
温かい心、寛容さ、謙虚さ、素朴さ、少しシャイな部分。いつもにこにこ笑顔で穏やかで。
本当に懐の深い方。
小さい頃、神学者だった叔父さんの影響を受け、カトリック、仏教などの宗教を超えた
ところにある思想、あらゆる宗教の根本にある共通する部分、自然界に精神的価値を見出す
アニミズムなどに傾倒したそうだ。当然のことながら東洋思想もよく知っていて、禅思想、
日本の伝統的な文化などは大好きだそうだ。
だから「エカム」という名前をワインにつけたり。

そんなスピリチュアルなラウルさんだから、ワイン造りにこの場所を選んだもう一つの理由が、
この場所の歴史。
実はこの地、12世紀から従軍僧侶たちが住んでいた修道院や見張り塔がある。
「カステル・デンクス」はその塔の名前。その僧侶たちによってブドウが栽培され、ワイン
造りがされていた記録があるという。少なくとも1752年まで住み続け、ワイン造りが続いて
いたようだ。その僧侶たちが発酵に使っていたのが自然の岩を削り掘って作った岩の発酵槽だ。

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ぽっかりと穴が開いた部分が発酵槽。その形がワイナリーのロゴマークにもなっている。

Castell_dEncus_15022010 054_ブドウ踏み桶、発酵槽
すごい。。
斜面の大岩を発酵槽として使うことで、重力フローの醸造方法がこの当時から行われていた。
昔の人の知恵ってほんとにすごいと思う。
ラウルさんはこの岩の発酵槽で一部のブドウを発酵し始めている。
白の他に赤ワインも造っていて、現在は一部の黒ブドウの発酵に使っているが、今年からは
白ブドウも一部岩の発酵槽でやるという。木製バット、ステンレスタンク、そしてこの岩の
発酵槽の3つで発酵し、ブレンドする。岩は、無味無臭のものではなく、有機物があり
何らかの味がする物質。だからワインにミネラリーさを与えてくれる、とラウルさん。
岩の発酵槽を使ってワインを造る造り手はヨーロッパで唯一だそうだ。

ラウルさんに関して、トーレスのワインのイメージは取っ払うべき。
ラウルさんが求めるワイン「「sutileza(繊細さ)」を持つワイン。たくさん主張するのではなく、
存在するかしないかわからない、でも存在する、そんなワインを造りたい。」
エカム、タレイアからそれがとても良く伝わる。

この8月、そのラウルさんがフェレール・ボベとカステル・デンクスを携えて日本に来日、
プロの方々にワインを紹介された。両方のワインを扱うワイナリー和泉屋が主催した会。
ワインジャーナリストの山本明彦氏も詳しく書かれている。

今年リリースされた初めてのシラー赤「タラルン」の他に、カベルネ・ソーヴィニョンと
カベルネ・フラン、プティ・ヴぇルドのブレンドやピノ・ノワール100%なども造っていて、
素晴らしいクオリティで、これからがほんとに楽しみだ。

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スペインのワイン界では誰もが一目置く存在のラウルさん。
その聡明さと謙虚さでみんなから慕われている。
温かい人柄、いつも絶やさない心の底からの笑顔で私もやっぱりノックダウンされてしまう、笑。


【追記】
ワイン専門誌「ヴィノテーク」2010年9月号にてソムリエ、ワインタレント、料理評論家である
田崎真也氏のテイスティングコメントが載っているのでご紹介。

「Ekam 2008
色調はグリーンがかった明るいイエロー。香りは華やかで、かりんや黄桃、あんずなどの
コンポートや金木犀の花、ほのかにミネラル香などが調和。味わいはまろやかな果実味から
広がりはシャープな酸味を感じ、余韻はフレッシュ感が長い。
マリアージュ : 帆立貝のクリームソースを使った料理など」

ワインなどほとんど口にしたことがなかったうちの両親。
スペインに来てくれた時にタパスと共にワインを飲んだり、私が日本に帰る度に
家で一緒にワインを飲むようになって、もともとお酒は好きな二人、ワインも美味しい、
美味しいって飲むようになってきた!
確かにね、ビールや清酒や焼酎と比べると高いし、焼酎みたいに割ったりしないから
ボトル1本あっという間に終わってしまう。
でも、ワインという世界中で造られるお酒、その奥深さ、魅力にだんだん気づき始めて
いるのではないか、と勝手に思っている。
母は新潟出身、お酒は家族で一番強い。「どんなグラスだって美味しいわ」とぐい飲み
みたいな小さなグラスでワインを飲んでたりする、笑。
父はもともとお酒が弱いけど、仕事で鍛えられて今じゃ普通に飲める。
そして長年仕事のお付き合いで舌も肥えていて、飲み慣れていなかったワインでも
意外と的を得た感想を述べたりする。
その父が白ワインに傾倒し、今まで飲んだ中で一番のお気に入りが
トマス・クシネの「アウセルス」だ。

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名称 : Auzells 2009
品種 : Macabeo 37%, Parellada 15%, Sauvignon-Blanc 12%, Chardonnay 12%, Muller-Thurgau, Riesling, Albariño, Muscat
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

Auzells 2009は2008と比べて更に良くなっていて、素晴らしい。
白、とてもいい。爽やか、すっぱい青リンゴ。キリッとしまっている。素晴らしい酸。

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そしてもう一つ新しい白が誕生!
「フィンカ・ラコンス」
トマスさんの自社畑のフィンカ・ラコンスという区画には樹齢90年ほどのマカベオの
畑がある。5年前に購入したというこの畑。古い樹齢のマカベオはほとんど見たことがない。
枝が他の品種に比べてとても太く、樹勢が強い品種。長年放置されていた畑で、
トマスさんが徐々に復活させている。

毎年より良いものを、より納得のいくものを、そう考えるトマスさんは、常に試行錯誤を
繰り返す。今後、白は500リットルの大樽で一部熟成したり、また、マカベオは2000〜3000
リットルのフードルで熟成し、以前より長く熟成させるなど、より樽の影響の少ない
ストレートなワイン造りを目指している。

コステルス・デル・セグレ、この産地は赤の産量が多く、白はマカベオ、シャルドネが主体で、
正直トマスさんの白に出会うまではこの産地の白のポテンシャルに気付かなかった。

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もっともこの産地はピレネー山脈麓からジェイダ県低地まで飛び地で数か所に分かれており、
同じ産地とは言えないほどそれぞれ特徴が異なり、まだまだ探究する価値がある場所なのだ。

そして、赤。

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ビロセルはイキイキした果実、モダンさ、飲み心地の良さ、を、
ゲオルは凝縮感、複雑味、深さ、を。

白だけでなく、トマスさんの造る赤も絶品。
バルセロナで最も老舗のワインショップでスペインワインの取り扱いアイテム数はスペインNo.1 と
いえるビラ・ビニテカのオーナー、キム・ビラ氏。スペイン中の造り手が一目置く存在である
彼が一昨年創業75周年記念にスペイン中から選りすぐった生産者26社にスペシャルワインを
造ってもらいそれをセットにして販売した。そのうちの一つがトマスさんの赤だった。
シラー主体のカベルネ・ソーヴィニョン、ガルナッチャとのブレンドだそうだ。
素晴らしい。。

「vino fresco (爽やかで、イキイキしたワイン)」
を追及し、努力を怠らない。
マカベオ以外は若木(樹齢10年弱)の畑、そのブドウで素晴らしいワインを造るには畑での
絶え間ない作業、管理が必要なはずだ。

あ、そうそう、古い樹齢のブドウはマカベオ以外にもう一つあった!

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スモイ種。
タラゴナ、ペネデスの標高の高い側、コンカ・デ・バルベラに僅かに残るだけの土着品種、
コステルス・デル・セグレで残っているのはこのトマスさんのところだけだという。
畑主の方が作業をしていた。トマスさんはスモイを使ってワインは造っていないが、
トライアルは何度もやっていて、近い将来トマスさんが造るスモイなんてのも楽しめるかもしれない!

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暑い初夏の昼下がり、だけど、700mほどの標高で、時折涼しい風が吹き込み、気持ちよかったぁ~。
トマスさん(左)とスタッフさんがバーベキューしてくれている♪

コステルス・デル・セグレという産地自体はまだ世界的に知られていないけど、これからは
どの産地、何の品種、というよりは造り手が最初にあってどんな造り方をしているのか、
どんな想いがこもっているのか、その二次的なところに産地のデータがある、という感じで
いいと思うのだ。
スペインもワイン伝統国、土着品種が山のようにあって、地域ごとに特徴は様々でフランス、
イタリア、ドイツなどのように内容は複雑だ。

細かい内容とかは関係なく、両親のようにその味わいを楽しめればそれで十分だとも思う。

スペインで何の心配もなく穏やかに暮らせるのは家族が元気でいてくれるからが一番大きい。
そして日本に帰る場所があること、本当にありがたく思う。
いつまでも美味しくワインが飲めるよう健康で元気でいて欲しい。

この生産者に関しては以前綴っているので、ご興味あればこちらへどうぞ。

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また日本で家族とのおうちワインを楽しみに、頑張ろう!
(あ、スペイン優勝のドキュメント!笑)

去年7月のブログで紹介したトマス・クシネ。
スペインの最も有名なワインガイド「ペニンガイド」や、パーカーポイントでもどのワインも
90点以上を獲得しているなど、既に国際的な評価を不動のものとしつつある。

まだまだ快進撃が続いているようだ。

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先日、スペインで出版された、三ツ星レストランエル・ブジのソムリエ、ダビッド・セイハス氏の
「2010年に楽しむ110のワイン」と題したお薦めワイン本。

その中で「ビロセル 2007」が紹介されている。

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名称 : Vilosell 2007
品種 : Ull del Llebre (Tempranillo) 65%、Merlot 17%、Cabernet Sauvignon 13%、Syrah 5%
産地 : D.O. Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

バーベキューにぴったりのワインとしてお薦めしている。
あぁ、いいねぇ、食べたくなる。

ダビッドさんのコメント

「トマス・クシネ氏は、6つの異なるサブゾーンに分かれるDOコステルス・デル・セグレの
畑やテロワールについて最も知っている人物の一人だろう。同産地で最も知られたワイナ
リーで長い間ワイン造りに携った後、2003年、自分自身のワインを造ろうとプロジェクトを
スタート。素晴らしい決断をしたトマス氏!コンカ・デ・バルベラとプリオラートと隣接
するサブゾーン、ラス・ガリガスの土地に目をつけ、理想的な標高、700〜800mの地に、
この産地のワインの種類や品種のバラエティ豊かさを利用して、ありとあらゆる品種を植えた。
ビロセルは、ワインの名前であり、このワインが造られるブドウ畑がある僻地の小さな村の
名前でもある。テンプラニーリョ、メルロ、カベルネ・ソービニョン、シラーのブレンド。
それらのブドウが栽培される畑は是非見に行って欲しい。発酵前に低温浸漬し、繊細な
果実味を引き出すことで、甘みがあり、ボディのしっかりしたワインとなる。熟したタン
ニンが口の中でとろけ、トーストパン、コーヒー、アンズの香りに、フルーツリキュールと
乳酸も感じる。ビンテージごとに良くなっているワインだ。
スタッフのみなさん、おめでとう!」

素晴らしい品質に加えて、驚きのリーズナブルな価格。
エチケットもセンス良くて、とてもいいし、文句の言いようがありません!

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それでもトマスさんの情熱は終わらない。
現在リリースされているワインたちは、まだまだ序章。
栽培する様々な品種の中で、素晴らしいワインになるポテンシャルを持つ品種で、
単一品種の白や赤を将来造っていきたいとのこと。
まだまだ、これから、驚かせてくれるにちがいない、トマス・クシネ!

去年の11月に訪れたワイナリー、トマス・クシネ。
(2008年11月22日ブログ参照)
バルセロナのワインショップ、Vila Vinitecaで、このワイナリーの白、
アウセルス (Auzells) を薦められたのがきっかけだった。
酸味のしっかりした爽やかさがあり、同時にコクもある、こんなに美味しい白には
スペインではなかなか出会えず、素晴らしい発見だったのだ。
マカベオ、ヴィオニエ、ソーヴィニョン・ブラン、シャルドネ、ミューラー・トゥルガウなど
9品種をブレンドして造るこの白。パイナップル、洋ナシ、リンゴなど爽やかな芳香、
ソーヴィニョン・ブランのハーブを思わせる香り、酸味のしっかりした素晴らしい白だ。
その他、テンプラニーヨ主体の熟果実、ハーブなどの芳香にバランスのよい樽の
味わい、きちんと爽やかさがあって飲みやすい赤、ビロセル (Vilosell) 、メルロ、
カベルネ・ソーヴィニョン主体でフレンチ・オーク新樽10ヶ月熟成、エレガントな
樽香にメンソール、ユーカリなどの香りにリコリスも、キレイに溶け込んだタンニン、
コクがあり、素晴らしいストラクチャーの赤、ゲオル (Geol) の2つの赤も造っており、
この3種のワインが秋口に日本に初上陸する!

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名称 : Auzells 2008
品種 : Macabeo, Viognier, Sauvignon Blanc, Chardonnay, Müller-Thurgau, Parellada,
Muscat de Frontignan, albariño, Riesling
産地 : D.O. Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

名称 : Vilosell 2007
品種 : Ull del Llebre (Tempranillo) 65%、Merlot 17%、Cabernet Sauvignon 13%、Syrah 5%
産地 : D.O. Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

名称 : Geol 2006
品種 : Merlot 45%, Cabernet Sauvignon 40%, Carinyena 5%, Cabernet Fran 5%, Marsellan 5%
産地 : D.O. Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

スペインの最も有名なワインガイド「ペニンガイド」や、パーカーポイントでも
どのワインも90点以上を獲得していることからもわかる通り、素晴らしい
品質に加えて、驚きのリーズナブルな価格。
ワイン好きの方には是非楽しんで欲しいワインたち。

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営業責任者カルロスさん(左)、オーナー トマス・クシネさん(右)

Fotos 078
エノロゴのジェンマさん

Fotos 048
訪問した6月初旬、ちょうど白い花が咲いた後で、結実の時期。
生育期の春に雨が降ったが、元気に育っているそうだ。

Fotos 058
伝統的に栽培されているマカベオ種。樹齢90年のものもあるという!

扱われるのはワイナリー和泉屋さん。
なんだか何度も和泉屋さんを紹介させていただいているが、回し者では
ありません(笑)。和泉屋さんが扱われているスペインワインは、本当に
素晴らしいものばかりなのです。ほんとにすごいです。。

【追記 2009年12月3日】
先日、偶然、ワイナート主筆をされていた田中克幸氏とお近づきになる機会に
恵まれ、Auzells 白 を絶賛されていました。
「ワインには、縦のリズムが感じられなくてはいけない。Auzells はそれが
感じられ、11品種が見事に調和して、素晴らしいワインだ!」

トマス・クシネ、白も赤もほんとにクオリティ高いワインだなぁ。

ワイン通販サイト、ワイナリー和泉屋は、フランスやイタリアを始め、おいしいワインを販売します

Dedico este blog a Sr. Tomàs Cusiné, gran creador de vino con clara filosofía y
gran persona al mismo tiempo, quien nos atendió con gran amabilidad y finura.
Sin lugar a dudas, fue una de las mejores visitas gracias a él y sus grandes vinos.

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素晴らしい秋晴れの日曜日。
楽しい仲間たちとワイナリーを訪ねた。バルセロナから西へ約130km、1時間半ほどで
行けるDO Costers del Segreへ。ジェイダ(Lleida)県の6地方にまたがるDO。
知られているワイナリーといえば、RAIMATCASTELL DEL REMEICELLER CÉRVOLES
L'OLIVERA といったところ。
そのDOの南、イェナ山脈 (Sierra de la Llena) の北部にある人口約100人の小さな村、
El Virosellで新たな挑戦を始めた生産者がいる。
TOMÀS CUSINÉだ。

オーナー、トマス・クシネさんは、もともとカステル・デル・レメイや、セイェル・セルボレスの
オーナーで、20年以上そこでワインを造り続けてきたが、小規模で自分がこうあるべきと
考える最高のワインを造りたいという夢を捨てられず、2003年に独立し、Tomàs Cusinéを
創業、現在は、Castell del Remei, Cervolesとは離れてTomàs Cusinéのみを運営している。

通常、週末の訪問は受け入れないとのことなのに、無理をお願いして訪問させてもらえ
たのだ。トマスさんは、私達が到着するなり当然のように、「ブドウ畑に行きましょうか」と、
車で連れていってくれた。

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栽培している品種は、Cabernet Sauvignon, Merlot, Syrah, Cariñena, Garnacha,
Tempranillo, Sumoll, Marcelan, Riesling, Sauvignon Blanc, Müller Turgau, Viognier,
Chardonnay, Macabeo, Parellada, Albariño etc...などとにかくすごい種類!この土地に
どんな品種が合うのか、新しい可能性を調査している。
新しいプロジェクトのため、まだ若いブドウ樹ばかり。マカベオ種だけは、昔からあった
古樹を栽培しているため、樹齢90年などのブドウ樹があるのだそうだ。
MarcelanはCabernet SauvignonとGarnacha種の交配種。

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標高670〜760mの間のなだらかな丘に、適する土壌を選んでそれぞれの品種が栽培
されている。様々な畑が散らばっている。

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土壌は主に石灰質、砂利混じりの粘土質など。標高の高いTomàs Cusinéの畑は低地
よりも、温暖な気候。ジェイダ県特有の厳しい冬の寒さ、夏の暑さからは少しだけ解放
されている。昼夜の温度差が大きい。いつも山から下りてくる風が吹いていて、きちんと
した管理のもと、今年欧州で深刻なべと病にも悩まされずに済んだのだそうだ。
昼夜の温度差も大きく、雨も年間380〜600mmと少ないため、ブドウもゆっくり熟して、
タンニンもソフトで、色合いの深いワインができる。
向こうに見えるのがEl Vilosell村。

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Merlot, Cabernet Sauvignonは紅葉するけど、Garnacha, Syrahは茶色になるだけ
なのだそうだ。品種ごとに色合いが異なるのがよくわかる秋の風景はとってもキレイだ。。

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トマス・クシネさん。

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カリニェナだったかな。2度目の開花によって熟したブドウのため、使用はできない。
2007年、生産量 約20万本。100%手摘み収穫。
農薬はcobre, azufleのみ。化学薬品は使わない。

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発酵用ステンレス槽。

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樽はフレンチオーク材を100%使用、Nadalie, Seguin Moreau, Sylvainなど、フレンチ
オークの中でも最高の樽生産者から購入するという。
でも、樽香は最小限に抑えたいから、ミディアムトーストで、熟成期間も長くはしない。

目指すところは「vino fresco (爽やかな、活き活きとしたワイン)」。多くのエノロゴは、許容
範囲内で最大限まで熟したブドウを求める。でもトマスさんはそれは間違いだと言う。
適熟の状態で、発酵・熟成の中で酸、苦みを和らげていく形が正だと考える。
トマスさんは、フランスワインのスタイルが好きで、それを目指している感じだ。
スペインのワインは一般にcalido(熟果実、酸より甘味が強い)だ。
CervolesのワインはTomàs Cusinéのワインより濃厚だ。
それらとはまた異なるスペインワインのスタイルを確立しているトマスさん。

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名称 : Auzells 2007
品種 : Macabeu 28%, Viognier 25%, Sauvignon Blanc 19%, Chardonnay 14%,
Parellada 7%, Müller Turgau 2%, Muscat 2%, Albariño 1.5%, Riesling 1.5%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

古いカタラン語で、「鳥」を意味。エチケットもスタイリッシュな鳥の絵。また、ワイナリーの
ある村El VilosellもVila dels Auzells「鳥の村」から由来しているからだそうだ。
9品種もブレンドされている大変面白い白。夏前に、ワイン店で面白い白と紹介してもらって
飲んだのを覚えている。パイナップル、洋ナシ、リンゴなど爽やかな芳香と、酸味のしっかり
した活き活きしたコクのある白だ。

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2年目のビンテージ、2008年収穫の、フレンチオーク樽で発酵が終わったばかりのまだ
濁った状態の白、それぞれの品種を試飲させてくれた。
今年のビンテージを誰よりも早く試飲させてくれたのだ!!参りました。。
Riesling, Macabeo, Müller Turgau, Viognier, Chardonnayなどなど。
Macabeoが一番、クリーミーで、滑らか。この地方で伝統的に栽培されてきている樹齢90年の
マカベオだそうだ。樽香は最小限に、でも澱との接触でまろやかなワインに仕上げるのは
不可欠と意識するトマスさん。発酵は樽で、熟成は澱と共に3か月。うち10%は樽、残りは
ステンレス槽で。まだまだ改善の余地があるとのことで、方向的にはSauvignon Blancのみを
2000l樽で発酵して、他種はステンレス槽でやっていくなど考えているとのこと。

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名称 : Vilosell 2006
品種 : Ull del Llebre 65%, Merlot 17%, Cabernet Sauvignon 13%, Syrah 5%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

熟した果実、ハーブなど芳醇な香りと、爽やかで、酸、甘みのバランスがとてもいい
とても心地よい飲み口。

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名称 : Geol 2006
品種 : Merlot 45%, Cabernet Sauvignon 40%, Carinyena 5%, Cabernet Franc 5%, Marselan 5%
産地 : DO Costers del Segre
生産者 : Tomàs Cusiné

香りからその複雑さに魅了される。樽香はとても上品に脇役に徹している。
白も赤もトマスさんの言う爽やかさ、活き活きさ、がはっきり感じられるワインに仕上がっている。

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昔使われていたオリーブ圧搾機。トマス・クシネの醸造所には、もともと農協があって、
オリーブオイルとワインを造っていたのだそうだ。
この土地はオリーブオイルの土地でもある。西はLes Borges Blanquesから東はMontblanc
までここ一帯で最高級品種の一つといわれるアルベキーナ種のオリーブオイルが造られる。
トマスさんが個人的に一番美味しいと思うオリーブオイルは、Cooperativa del camp de
Cervià de les Garrigues のだそうだ。

ウェブ上の写真からは、何か厳格な印象があったトマスさん。
でもそれは完全なる誤解だった。生産者としての真剣な眼差し、お子さんのことを話す時の
パパとしての柔和な表情、自分のセオリーを語る時の活き活きとした瞳、終始見せてくれた
くったくのない笑顔、様々な顔を見せる自然体の、本当に温かい方だった。

まだまだトマス・クシネの旅は始まったばかり。
数十年に渡るワイン造りの経験から、新しいワインもあっという間に世界中で高い評価を
受けている。
それでも、また違ったワイン造り、新たな挑戦をどんどんやっていくというトマスさん。
また精一杯応援したいワイナリーが一つ。

友達と行った今回の訪問、お天気にも恵まれて、美味しいお昼も楽しんで、すっごく
思い出に残る一日になった。