DO ALMANSAの最近のブログ記事

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名称 : Adaras 2005
品種 : Garnacha Tintorera 100%
産地 : DO Almansa
生産者 : Bodegas Almanseñas
「アダラス」というこのワイン、
ペニンガイド2010でDOアルマンサで最高得点を獲得している赤だ。
日本にはほとんどのラインナップが入っているから、飲んだことがある人もいるだろう。

でも、アルマンサ?まだまだ知られていない産地。
この「アダラス」を造る生産者「ボデガス・アルマンセニャス」が立役者となって、
にわかに盛り上がっている産地なのだ!

年末、旦那の故郷、ハエンに行く途中、アルバセテを通るついでに見学をした。

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バレンシアから南西に80kmほど内陸の地域だ。

年末でお忙しいだろうに、社長のダニエルさんが丁寧に案内してくれ、1時間以上かけて
畑を回ってくれた。

日本には出水商事さんが輸入されていて、サイトに非常に詳しく説明が記載されているため、
細かいことは省こう。

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出会いたかったのは、やっぱりこの産地の主要品種 ガルナッチャ・ティントレラ。

周辺のDO、フミーリャ、バレンシア、イェクラ、マンチュエラなどの主要品種はモナストレル
だが、アルマンサだけは、ガルナッチャ・ティントレラが主に植えられる。

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アリカンテ・ブシェのシノニムを持つこの品種、ブドウには珍しい、果肉までが赤い!
過去、この品種はワインに色づけするためにブレンドされていたが、アルマンセニャスは、
この品種を良く理解すれば素晴らしいワインができることを証明。
カスティーリャ・ラ・マンチャ、バレンシア、アストゥリアスなどでも栽培され、
DOアリカンテ、ビエルソ、リオハなどで良く見られる品種だが、主要品種としてワインが
造られるのはアルマンサだけ。
外国では、フランス、イタリア、カリフォルニア、イスラエル、ポルトガル、チリ、
南アフリカ、などでも栽培されるそうだ。

できるワインは、濃いルビー色、ブラック・ペッパー、黒オリーブ、チョコレートなどの香りに
赤果実も。スパイシー、ハーブ、活き活きした酸、そして爽やかな果実味。

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オレンジ色の醸造所の後ろに見えるのが「エル・ムグロン」山。
そんなに高くは見えないんだけど、実は山裾、醸造所から少し上った畑は、既に標高900m
近いのだそうだ。そのなだらかな裾野に畑が広がり、一番低い場所にある畑でも800m。
アルマンサは酷暑で乾燥した大陸性気候だが、このエル・ムグロン山のおかげで、
ラ・マンチャのメセタ(台地)からの熱を跳ね返し、地中海からの湿気を留めてくれ、
特有のミクロクリマが造られるのだそうだ。
地中海からの微風が夏の夜を冷やしてくれ、昼夜の温度差が大きくなり、ブドウ樹を
病害からも守ってくれる。健康で色づきの良い、糖と酸のバランスが良いブドウが実る。

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低地(標高830m)のガルナッチャ・ティントレラの畑。
ダニエル社長(右)と20年以上この畑を守リ続けるルイスさん(だったかな。。)

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樹齢40年以上のガルナッチャ・ティントレラ。
ラ・マンチャも含め、この地域は特にブドウ樹の仕立てが低いのだけど、その理由について、
出水商事さんのサイトに、
「伝統的にブドウ樹の仕立てが低いのは葉や幹が土地に影を作り下からの熱を抑えることに
より、果実を熱から遮ることができ、樹液の流出を抑え、乾燥していても灌漑に頼る必要が
減るからである」
なるほどねぇ。前からあった疑問が解けた。

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エル・ムグロン山の麓に近い最も標高の高い畑。
剪定作業が行われていた。
畑の色からして、低地の畑と違う。
角が尖った石ころがたくさんあり、石灰質を多く含む土壌。南向きで日射時間もバツグン。
低地に行くにつれ、時を経て侵食され、小さく丸くなった石が多くなり、粘土を多く含む。

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ウサギの住みかである穴がたっくさんあった。
畑にいる間、何匹もウサギやヤマウズラに出会った。
あっという間に逃げてしまい写真に収めることできず!
若芽を食べてしまうウサギ、深刻な問題なんだ。。
農薬を使用しない自然に優しい栽培方法である証なのだけどね。。

「アダラス」はこのワイナリーのトップキュヴェ。
古代ローマ人がイベリア半島を支配していた際、この地は、古代ローマ人が南に行くための
道の中継地であり、この地に定住地があったという。標高の高い地であることから、当時、
Ad aras (encima de「上の」の意) と呼ばれていた。
その後、アラブの侵略により、Almansaと名前が変わったのだそうだ。
その伝統ある名前を冠する赤。ガルナッチャ・ティントレラ100%で造る。
アルマンサでも、単一品種は珍しい。
プレフィロキセラの接木されていない最も古いブドウ樹で、石の多い石灰質の区画の果実を
厳選、ブドウは足踏み、セメントタンクで自然酵母によるアルコール発酵、マセラシオン30日、
300l フレンチオークで18ヶ月熟成。軽く濾過。瓶熟12ヶ月以上。
ハーブ香が心地よい、エレガントで爽やかさあり、ミネラリーで深い赤。すごくステキだ。

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名称 : La Huella de Adaras 2008
品種 : Sauvignon Blanc, Verdejo, Monastrell
産地 : DO Almansa
生産者 : Bodegas Almanseñas

それから興味深いのが、2008が初ビンテージの白。
南の白は酸が足りないため、酸がしっかりあるモナストレルを少しブレンドすることで、
酸、バランス、複雑さなどが出る。シュル・リーにより、クリーミーさも。
完熟する前に収穫し、アルコール度13°と高すぎず、大変爽やかな仕上がり。

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名称 : Calizo de Adaras 2008
品種 : Garnacha Tintorera, Monastrell, Petit Verdot
産地 : DO Almansa
生産者 : Bodegas Almanseñas

優しいマセラシオン、ステンレスタンクで1年間澱と共に熟成。軽く濾過してボトリング。
赤果実、ハーブ、ミネラル感、燻した香りまでして面白い。
気軽に楽しめる良質赤。地元のバルなどで、タパスと共に楽しまれているそうだ。
初ビンテージである2004で、パーカーポイント89点、2005では92点を獲得。

ダニエル氏のこの土地に対する思い入れ、最高のワインを造ろうという信念が、すごく伝わって
きた。その熱い想いがエステル・ニンなどの天才醸造家たちをも動かしたんだな。

その後にダニエル氏に薦めてもらって行ったAlmansaのレストラン、Casa Valencia。

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絶対食べろと言われた「ガスパチョ・マンチェゴ」。
アンダルシアで食べるガスパチョ、冷製スープしか知らなかった私は、見てびっくり!
この地方の伝統料理で、温かいスープなのだ。
鶏肉、うさぎの肉、うずら肉、いわゆる猟獣・猟鳥の肉を野菜や香草と共にじっくり煮込み
レバーでコクをつけ、最後にトルタというパンを加えるもの。
このお店では大きなパンを造り、その上に煮込みを乗せて、パンごとちぎりながら食べるスタイル。
とても美味しい本場のガスパチョ・マンチェゴを、「アダラス 2005」と共にいただいた。
本当にその土地の料理にぴったり合うワインだと感じることができた。

投資家や醸造家が、こうやって忘れられた産地を復興する動きはやっぱり称賛に値する。
みなさんがワインを選ぶ際の基準は何だろうか。
私はやっぱりその土地固有の品種を大事にする生産者に目が向いてしまう。
知られていない産地でも良いワインがたくさんある。
それを発見した時の喜びは大きい。

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見学した日は、曇りかと思ったら晴れ間が覗いたりと、移り気なお天気で、時折差し込む
お昼時の太陽の光が印象的で、地中海のほうから吹き込む風が心地よかった。