ガルナッチャ 〜スペインの多様なテロワールを映し出すブドウ〜

このエントリーをはてなブックマークに追加 Check
スクリーンショット 2015-03-29 19.28.32.png
スペインでは近年、ガルナッチャが注目されている。
ガルナッチャ、グルナッシュといえば、シャトー・ラヤスを代表とする
南ローヌのシャトーヌフ・デュ・パプが世界的に知られているが、世界で
3番目(メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨンに次ぎ)に多く栽培されている
黒ブドウ品種。
南フランス、イタリア、オーストラリアなど広く栽培されているが、
最も栽培面積が大きいのはスペインだ。
原産はスペインのアラゴン地方、マドリッド周辺、リオハ、カタルーニャ
地方と、スペイン北東部のエブロ川の周辺に多く分布している。
私も個人的に非常に好きな品種で注目している。

その理由として。

- テンプラニーリョと異なり、暑さを必要とする品種のため、内陸のみ
 ならず、海に近い場所も含め、スペインにおいて、より多様な環境で
 ポテンシャルを発揮しうる品種であること。

- これまで高品質品種として見なされてこず、そのポテンシャルに気づいた
 若い造り手たちによるたくさんの動きがあり、彼らのワインを通じスペ
 インの様々なテロワールを感じることができること。

- 南のピノ・ノワールといわれるようにガルナッチャが繊細さや優美さを
 もつ品種であること。

- 人の手をできるだけ加えずに、ブドウが、テロワールがそのまま見えるよ
 うな造りが適した品種であること。

ガルナッチャ、グルナッシュはこれまで補助品種としてブレンド用に使われて
きたり、高収量で低価格ワイン用のブドウというイメージがあり、酸が穏や
かなため長熟には向かず、アルコール度も上がりがち、若飲み用のワインが
多く造られてきた。

スクリーンショット 2015-03-29 17.44.29.png

歴史的には高収量を目的とし
地の広い区画での栽培が奨
励されてきた。
しかし、スペインには高標高
ガルナッチャの古樹がそこ
ここに残っており、そうした
畑を発掘・復活し、超低収量
で酸を大事にしながら冷涼感
あるエレガントなワインを造
る動きが若手を中心に出てき
ガルナッチャのポテンシャル
は一気に広がりを見せている。




ガルナッチャは、大きめの粒、果皮は薄く、糖は比較的高く酸が穏やか。
赤果実系、ホワイトペッパー、リコリス、そんなニュアンス。
ともすればアルコール度が上がり過ぎ、酸化しがちな品種だけど、
場所を選べば、やり方を考えれば、素晴らしいワインができる。

それを証明し始めている産地、そして造り手が出てきている。
いくつか挙げてみたい。

【グレドス山脈】

スクリーンショット 2015-05-08 12.47.05.png
マドリッドから西へ50kmほど、アビラ県、トレド県、サラマンカ県、
カセレス県、マドリッド県にまたがるグレドス山脈。
セブレロスやエル・ティエンブロという行政区画を中心に、粘板質が主な
土壌と純度の高い花崗岩質土壌の2種類がある。
2000年頃テルモ・ロドリゲスがこのエリアを開拓。
高標高の花崗岩質土壌は、細身で繊細で、直線的で赤果実、鋭角な印象、
ミネラル。

【プリオラート、モンサン】

スクリーンショット 2015-05-08 12.57.05.png
プリオラート南部、アルバロ・パラシオスに代表される造り手たちはガル
ナッチャにポテンシャルを見いだし、熱さのある粘板質土壌でありながら
フレッシュさのあるワインを造っている。
また、ガルナッチャに適する土壌は高標高の粘土質土壌と見いだし、プリオ
ラート北西部のモンサンとの境にそびえるモンサン山脈でエレガントな赤が
造られる。

スクリーンショット 2015-03-29 17.56.10.png

事実、そのモンサン山脈麓にある12世紀に
建てられた修道院のエリアでは、昔から
ガルナッチャが多く栽培されている。

繊細さ、適度な重心、丸みのある酸、海を
感じる風、ミネラル。









スクリーンショット 2015-05-10 17.08.11.png

【ナバーラ】

ナバーラはガルナッチャ王国。どのエリアにも
株仕立ての古樹が多く、土壌豊かなナバーラで
様々な赤が造られる。そのうち、北東部に位置
するサブゾーン、バハ・モンターニャの高標高、
石灰を多く含む粘土質土壌の貴重な古樹畑が一
部残る。
石を舐めたようなミネラルとハーブ、冷涼さと
パワーが調和するドメーヌ・ルピエール、そし
ビニャ・ソルサルの高標高のガルナッチャは
一飲に値する。




【カラタユ、カンポ・デ・ボルハ】

スクリーンショット 2015-05-10 17.29.41.png

スクリーンショット 2015-05-10 17.29.02.png


イベリア半島中央部を横断する山脈系システ
マ・イベリコの東端に位置するラタユの中
でも標高800900mの黒い粘板質土壌はプ
リオラートのそれに似、より凝縮度が高く、
香りの複雑さ、パワーがありながらフレッ
シュさを合わせもつガルナッチャが造られる。
また、カンポ・デ・ボルハやモンカヨ山の
赤い粘板岩や石がごろごろあるような土
壌もある。







【リオハ】
リオハでガルナッチャが多く分布するのは標高低めで、より肥沃な土壌が
広がる東部のナバーラと隣接するリオハ・バハだ。
赤粘土が主な土壌で、沖積土も混ざる。

スクリーンショット 2015-05-18 10.41.58.png
クネはリオハ・バハの石がごろごろある沖積土の古樹の畑のガルナッチャで
単一赤を作る。シャトーヌフ・ドゥ・パプのようなこうした土壌はカンポ・デ・
ボルハやソモンターノの一部にもある。

スクリーンショット 2015-05-18 10.52.44.png


【アリカンテ】

海沿いにして高標高のエリアでわ
ずかに残るガルナッチャで
優しい果実味と冷涼さを与える酸。
風化した花崗岩質土壌。







古樹の低収量で、自然をリスペクトした栽培で、果実味と、冷涼さからの
酸と、滑らかさ、飲みやすさで、早くから飲みやすいワイン、そして長熟の
ポテンシャルもある。
そして様々な土壌で栽培されていること。
これがスペインのガルナッチャのポテンシャル。

スクリーンショット 2015-05-18 11.07.14.png


去年いただいた。
太陽を感じながらも、木陰に通る涼しい風、
少し湿った草木を感じる冷涼さのあるエレ
ガンス、複雑さ、スケール感、奥行きの素
晴らしさ。

酸化しやすい、グラス落ちしやすい、
色々言われてきたグルナッシュ、ガルナッ
チャだけど、
良いブドウから、良い造り手からは
良いワインができる。
シャトー・ラヤスはもうずっと前からそれを
示してくれていた。

9月の第 3 金曜日はグルナッシュデー
その輪がどんどん広がっている。
南仏でも、ニューワールドでも素晴らしい
ワインが増えている。


みにくいアヒルの子が白鳥になる、
そんな夢を与えてくれる品種なのかもしれない。

今回は造り手の顔やボトルではなく、土壌や畑の風景の写真を集めた。
とはいえ、土を、風景を、ブドウをワインを通じて映し出す「人」が
いてこそ。

グルナッシュ、ガルナッチャの動きから目が離せない。




トラックバック(0)

トラックバックURL: http://blog.vivaspain.es/mt/mt-tb.cgi/436

コメントする