ミネラルとは。

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ミネラルって?
先月末にフェイスブックで紹介した記事第一弾。

「1970~1980年よりも前にワイン用語に「ミネラル」という言葉は存在しな
かった。1980年代から始めてワインの香りを表現するのに使われ始めた。
1980年前のワインにはミネラルのニュアンスを感じさせるワインが存在しなかった
ということだろうか?もし、「ミネラル」がテロワールと関連する言葉であるなら
世界で高い評価を受けるグラン・ヴァンの一部はなぜ今その言葉を使い、以前は
使っていなかったのか。」

スペインでワインの第一線で活躍するエデュケーター ダビッド・モリナさんと
微生物学研究の大家であるアントニオ・パラシオスさんの記事。

その続きの記事をご紹介。

「醸造家はミネラルと呼ばれるニュアンスは土壌からも来るが、土壌とは全く
関係ない一定の醸造工程によっても得られる、と明言する。
アントニオ・パラシオスとダビッド・モリナはロバート・パーカーが1980年代に
「発明」し、一部のグラン・ヴァンを表現した言葉について分析する。

ワインにおける「ミネラル」について何が本当で何が架空なのか、そして1980年代
からどのようにこのコンセプトがワインの香り表現として使われ始めたのか分析
してみた。その中で、この表現が使われ始めた時期と国際的な規模でワイン産業の
技術革新が起こった時期、そして市場に多大な影響を及ぼす先導師が初めて出現
してきた時期とが重なるのは非常に興味深い。

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1980年代初め、巨大市場アメリカに「ザ・ワイ
ン・アドヴォケイト」誌の発刊と共にロバート・
パーカーが強力に現れ、既にテイスティングコメ
ントの中で「ミネラリー」「ミネラル」という言
葉を「濡れた石のような香り」と似た表現として
使っていた。そこからすぐにブドウ畑の地質、い
わゆる「テロワール(土壌の意)」という力強い
コンセプトに関連づけられるようになった。

ワインにおける「テロワール」のコンセプトが確
立されると、テイスティングの際に「ミネラル」
という言葉は特に一定の辛口白や冷涼地の甘口と
関連づけやすい。
テイスターがそのワインがどのような土壌で造ら
れたものかを知っている場合に生まれてくる刺激
的感覚からテイスティングコメントに「ミネラル」
「テロワール」という表現が使われているのを
多く見る。
明らかな例として、モーゼルやラインガウ、オーストリアのヴァッハウ、
カンプタール、ニュージーランドのセントラル・オタゴなどのリース
リングが挙げられる。言葉自体が論議をかもしている。

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地中深くに伸びた根?

この実に個性的な言葉がどこ
から来たのか明白なデータが
ないまま少し考えてみたい。
ブドウ樹は土壌の構成、土壌
の深さ、土中の水分量によっ
てその根を非常に深く(3~
5m)伸ばすことができる。
ブドウ樹は根っこから生き、
成長し、繁殖するために必要
な栄養素や水分、鉱物を吸収
する。また、土壌が肥沃か、
痩せているかの違いによって
もブドウ樹の状態に影響を与
え、鉱物の構成によりブドウ

樹の品質、香りや味などの特徴に影響を与えることは理解できる。
しかしながら、ワインの特徴や品質と土壌の鉱物含有との相関性は全くないと
主張する専門家もいる。土壌と根との交流は選択的なもので、土壌の成分による
ではなく、ブドウ樹が生きるために必要とするものに従って行われるからだと
いう理由だ。しかも、植物は根を通してある特定の土壌の分子を吸収するわけ
ではなく、イオン(陽イオン、陰イオン)の形で、しかも水溶性がある場合に
のみ吸収するのだ。そのためには土壌の地質単位を構成する複雑な分子は事前に
退化している必要がある。その他、別の専門家の中には、ブドウの有機・無機
分子の大部分は植物の空気中における代謝によって生成されると主張する者も
いる。
炭素は葉から吸収された、また光合成によって蓄積された二酸化炭素から生成
され、酸素も同様に(水分から生成されもするが)そうであるように。
一方で、樹やブドウに存在する鉱物という形の無機質の多くは根から吸収される
ことも事実である。

醸造の観点から

一定の醸造処理・技術が影響を及ぼすワインの物理化学的状態により、テイス
ターが「マッチの煙」「火打ち石」「煙」と表現するニュアンスを与えることが
ある。そうしたワインの還元的状態からくる香りを往々にしてテイスターたちは
「ミネラル」と表現する。
ベンゼンメタンチオールという硫化物がこれらの特徴と直接関係している化合
物だ。
また、人によっては高い酸とある程度のベジタルなニュアンスがあり、アルコー
ル度が低いワインに対し「ミネラル」を関連させる。このように「ミネラル」の
ニュアンスとコハク酸、乳酸、クエン酸の高さとを結びつける場合もあり得る。

 もう1つの議論は、補酵素という形で鉱物触媒の豊かさがワインの発酵や化学
面で重要な役割を果たすかどうかを解明する点である。
また、pH が非常に低くSO2含有量が高いワインには必ずといっていいほど「ミ
ネラル」という表現が使われるとする専門家もいる。SO2 添加量に未だに寛大な
ドイツのリースリングの多くに見られる特徴である。

「ミネラル」という表現は辛口白、冷涼地の甘口だけの専売特許と断言するには
まだほど遠く、ワインの「ミネラル」についての化学的根拠を解明するために
この特徴をかもす分子があるのかないのか、または単なる強力なマーケティン
グ目的のツール、感情的な産物なのか、または本当に土壌の成分がワインに感覚
的足跡を残すのか、など様々な研究が必要である。」

mineralidad.jpg


このテーマ、本当に議論が尽きない。
解明されていないことも多く、だからこそ
奥深い、ワインは。
「ミネラル」という言葉を少し勝手に捉え
簡単に使い過ぎている自分を戒める。
反面、ロマンな部分はなくしたくない、
とも思う、笑。

ちょうど昨日、あるワイナリーを訪れた
時、異なる区画で同じ醸造法でプレスし、
発酵がほぼ完了しているまでだけの状態の
白辛口を試飲させてもらったのだけど、
石灰質を多く含む土壌の区画の方が「ミネ
ラル」(笑)を感じるのだ。
それでもこれはその土壌を分かっていて、
それにつなげたい潜在的感情から来るもの
なのか、笑。


訳でわかりづらいところがあったら
ごめんなさい。。ご指摘をよろしくお願いします。

さて、最後に、記事を書かれたお 2 人について、詳細を記しておく。
2人とも国内外で知られる大家だ。

antoniopalacios.jpg

アントニオ・パラシオス氏
ワイン醸造・栽培において、生産者のように
表に出ることは少なくても彼ほど貢献してき、
尊敬されている方は少ない。醸造学、栽培学、
生物学、微生物学の大家であり、20 数年にわ
たり醸造学校のマスターコースの栽培・醸造
講師をされたり、原産地統制委員会のコン
サルタントをされたり、様々な研究機関と酵
母や品種など多くのことを研究され、論文を
発表されたり、執筆をされたりしている。
私は一度だけ 3 年前に「ワインの欠陥」とい
うコースでお教えいただいた。


david molina.jpg


ダビッド・モリナ氏
ワインスクールOutlook Wine
WSET 公認エデュケーター。
若くして多くの名だたるレストランでソムリエ
として活躍した後、世界中を旅しながらワイン
ビジネス・マーケティングを学び、ワインに関
する様々な研究もし、記事も多く書く。ロンド
ンに移り WSET のディプロマを取得、公認エ
デュケーターに。ワイナリーでもマーケティン
グ責任者として活躍するなど、ワイン業界のあ
らゆる舞台で活躍し、その幅広い知識と経験と
で現在はマーケティングコンサル、エデュケー
ターとしてワインファンからワインのプロまで
教育を施す。





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