ワインに濁りはNG?

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醸造学校やワイン業界では、ワインが濁らず、透き通ってクリーンな状態を良しとする。
OIV (国際ブドウ・ワイン機構)はワインコンクールで濁りのあるワインにメダルを授与
しない、と定めている。
ボトルで長い間熟成させた赤で澱が溜まっているいるケースを除いては、澱は悪者、だ。

でも澱は、時としてワインの美しさを増してくれる。
澱は他に添加しない限りはブドウそのものの酵母が変化したものであり、果肉や種子
だけでなく、果皮と共にブドウ、その土地を感じることができ、より違う次元で品種特性、
複雑さを感じることができる。
また澱は酸化を防ぎ、フレッシュさをもたらしてもくれる。
熟成中も澱と共に寝かせれば、その間ワインは酸化から守られる。
瓶詰め時に安定化処理やフィルターをしないか、程度を低くすればワインは守られ
SO2の添加量も多くなくて済む。
もちろんバランスはとても大事で、澱だらけで、ワインの味や香りの主役が澱に
なってしまうのも濁り過ぎで舌触りが不快なのもいただけない。
寄り添うようにして存在する澱の存在はたまらない。

スペインのワインで好きな「澱たちの存在を心地よく感じるワイン」を個人的に
挙げてみると。

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名称:Las Yolas 2011
品種:Albillo 100%
産地:Cangas del Narcea
生産者:Dominio del Urogallo 

アストゥリアス地方の山間を流れるナル
セア川を谷間とするカンガスの地。
トロ出身のブドウ栽培・醸造家ニコラ
ス・マルコス氏が辿り着いた理想郷で
アルビーリョ100%で造る白。
手で除梗、足でブドウを踏み、野生酵母
のみで発酵、フレンチオーク樽で12か月
澱と共に寝かせ、そのまま瓶詰め。
結構中性的な味わいの品種だけど、非常
に果実味豊かで酸がしっかりあり、わず
かに生のアーモンドのようなニュアンス
やフレッシュ感が深みを与える。

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       (ボトルは2005のもの)
品種:Sumoll 85%, Garnacha 15%
産地:Vino de Mesa (Penedès)
生産者:Els Jelipins

ペネデスの奥地の「大草原の小さな家」的
環境で生活・ワイン造りをするアルス・ヘ
リピンス。グロリアがスモイ主体でとても
エレガントでフェミニンで深みのある赤を
造る。
自然な優しい造りで瓶詰め前もフードルの
中で自然に沈殿させるだけ。
目に見えるか見えないか程度の非常に細か
い澱の存在をエレガントに感じ、何とも
言えない奥行きをもたらしてくれる。




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名称:Tio Pepe Fino en Rama 2013
品種:Palomino 100%
産地:DO Xeres-Jerez-Sherry
生産者:Gonzalez Byass

無濾過のフィノ。
毎年 4 月にリリースされすぐ完売してしまう。
できたて、何も引かない、しかしクリーンで
深い味わい。フィノ・エン・ラマを世間に知ら
しめた火つけ役。普通のフィノよりボディが
り、より酵母やドライフルーツなどのニュアン
スを感じ複雑、フレッシュで丸みがあり、飲ん
でいて楽しい。
瓶詰めから 3 か月以内に呑むのが大事。
ソレラのフィノ用のボタの中から最も良いもの
を選んでエン・ラマにしていることもあり、
よりフィノの真髄を楽しむことができる。
塩焼きそばと。

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名称:Loxarel 109  2002
    Gran Reserva Brut Nature
品種:Xarel.lo 95%
産地:DO Penedès
生産者:Loxarel

ペネデスでレセルバ以上のカバとワインを
造るロシャレル。15年前から有機栽培、8
年前からビオディナミでブドウを大事に
ワイン造りをする。アンフォラを使った醸
造も試みるなど 5 代目ジョセップさんは自
然派の造り手。109か月瓶内熟成後、澱と
共にデゴルジュマンせずにリリースという
珍しいスタイル。このデゴルジュマンしな
いというのはカバ規定では認められていな
いため DO ペネデスになる。10年ちょっと
経ってもブドウの力強さを感じ、熟白果実、
ブリオッシュ、ドライフルーツ、ドライフ
ラワー、バター、ミネラルなど次元の高い様々な香りが豊かで、酸がしっかり存在し、
豊かでクリーミーな味わい。フレッシュ感がとてもありユニークなカバ(おっと、カバじゃ
ないか、笑)

pedra.jpg
品種:Garnacha Blanca, 
         Pedro Ximénez
産地:DOQ Priorat
生産者:Terroir al Limit

プリオラートで、よりその土地の
表現を、ブドウの表現を、より繊
細でエレガンスを、最も革新的な
形で見せてくれている造り手、テ
ロワール・アル・リミット。
この白は濁っていない。
フィルターや清澄処理を全くせず
ドゥミ・ミュイ内で静かに澱を
殿させた後瓶詰め。とてもクリー
ンだけど細かい澱は除去されていないため、豊かな果実味に、ガラスの結晶の
ような花崗岩質からの素晴らしいミネラル、クリーミーさ、ドライフルーツ、
樽香とより複雑味、深みをかもす一助となり、素晴らしいバランス。
ずと飲んでいたい白。

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名称:Cobero 2012
品種:Palomino 100%
産地:Vino de Mesa
生産者:Goyo García Viadero

スペイン北、カンタブリア、サンタンデー
ルから南西に内陸に行くとある 2000 m級
の山が連なるピコス・デ・エウロパがある。
リベラ・デル・ドゥエロで自然を大事に超
収量のワイン造りをするゴヨ・ガルシア
が発掘したピコス・デ・エウロパに僅か
に残る古樹の畑たち。歴史的にスペイン北
の一部の地域にはパロミノが今でも残る。

もしかしたらピエ・フランコかも、という
斜面の古樹畑からコベロができる。
果皮とマセレーション、発酵・醸し25~
30日、ステンレスタンクで5か月熟成。
SO2無添加、フィルター・清澄処理なし。少し果実の甘みが残る 2012 ビンテージ。
高山の花を感じる。冷涼さ、柑橘系の果実。淡いロゼっぽい色をし、澱の凝縮感も
感じる。
とてもステキな白。

上に挙げたワインたちはほんの一部で澱の存在もブドウの一部、ワインの一部として
大事に造るワインは程度の差こそあれ増えており、挙げればきりがない。
とにかく大事なのは美味しいかで、バランスが大事。だから澱を残すことが良いと
いうのではなく、それを造り手がどのように考え扱うか、が大事だろう。
そういう意味では上記のワインたちはそのバランスが高い次元にあると私は感じる。


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