EU 持続可能なワイン産業に向けて

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数年前から EU ではブドウ栽培制限制度とその自由化について議論がされている。

背景として

① 競争力の低下
近年 EU 域内ではワイン消費が低迷、その一方でニューワールドの
ワインが EU 市場でもシェアを伸ばしていて競争力が増していることで EU 産ワインを
取り巻く状況が厳しさを増していることが挙げられる。

② 高級ワイン市場では成功している生産者が多いが、安価なテーブルワイン市場が
需要と供給の均衡が大きく崩れており、EU のワイン部門全体としては、構造的な
過剰生産が深刻化している。過剰生産量は1500万ヘクトリットルにも達し、
EU27か国のワイン生産量の8.4%に相当。

③ 消費量の減少
 北欧諸国では伸びているが、伝統的なワイン生産国・消費国
フランス、イタリア、スペインなどは減少傾向
毎年約75万ヘクトリットル(約0.65%)ずつ減少しているそう。
消費者の習慣がライフスタイルと共に変化している。

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そのために、ワイン生産量を抑制し
ようと、栽培制限制度が実施され
た。栽培権なしにブドウ栽培を行う
ことを一律に禁止するものだ。
この制度、結構落とし穴もあって
思ったように機能しているわけでは
ないらしいけど、この栽培制限に関
する制度は 1979 年から少しずつ
改正されながら行われてきていて、
2008年の新たな改正施行から抜根
奨励金の支給によって3年間で17万
5000ヘクタールのブドウ畑の削減
がはかられ、最終的に2018年末に
は廃止され、以降、ブドウ栽培は
自由化されることになる。

この制度によって、古樹の低収量の畑が抜根されているネガティブな事実もある。
削減された17万5000ヘクタールのうち43%はスペインの畑だそうだが、それだけ
畑が減っても生産量が減っていないことはこのことを裏付けていると思う。

フランスやスペインは基本的に自由化に反対、栽培制限制度を維持し、フレキシブルに
対応しつつも原産地呼称制度の安定化を維持することを主張している。

ブドウ栽培が自由化されれば、ワイン生産量が増加し、テーブルワイン市場だけで
なく、高級ワイン市場においても需要と供給の均衡が更に崩れることになるかも
しれない。

ワイン伝統国であるフランス、イタリア、スペインにおけるワイン消費量が減って
いるのは今後とも続く傾向だろう。
一方で北のノルウェー、スウェーデン、イギリスなどでは消費量が伸びている。
こうした国々は欧州ワインだけでなく世界のワインも寛容に受け入れるオープンさを
持つ。

伝統国だからという理由だけでワインが売れる時代は終わりに来ている。
世界的なワイン産業はますます国際化と高度化している。欧州での生産が減少する
一方でオーストラリア、チリ、中国などの国々が生産を伸ばし、新たな輸出ハブと
して浮上しており、グローバル的にワインの需要と供給がヨーロッパからシフト
しつつあることを、そして世界的な消費が停滞している現状であることも加え、
生産者は、それに関わる者はもっと意識する必要がある。
今後どうなっていくか、注目していきたい。

参考資料
http://www.meijigakuin.ac.jp/~cls/kiyo/87/87ebihara.pdf


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