トレンティーノ = アルト・アディジェからスペインを想う

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なんだかアルプスの少女ハイジが出てきそうなスペインでは見たことないような山岳の風景。
そう、ここはイタリア、トレンティーノ = アルト・アディジェ。
南チロルとも呼ばれるアルト・アディジェの風景。

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バルセロナに 6 年前にスペインで初めてオープンし
たイタリアワイン専門店「Enoteca d'Italia」。
定期的に開催するワイン会に参加した。

テーマは
トレンティーノ = アルト・アディジェ

スイスとオーストリアとの国境に位置するアルプス
山脈に囲まれたイタリア最北端の産地。
ハプスブルク家(オーストリア)との関わりが強く
オーストリア領だったこの地方、最終的にイタリア
に統合されたのは 1918 年。





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この産地はトレントを中心とする州南部のトレン
ティーノ地区と、ボルツァーノを中心とする南チロ
ルとも呼ばれるアルト・アディジェ地区に分かれて
いる。

北のアルト・アディジェ地区は山地が多く、アルプ
ス的な気候で寒冷地。標高 700 mを超え、1000m
を超えるところもあるという。
標高が高く昼夜の寒暖差は大きくブドウに力強い酸
を与える一方で、畑がある渓谷にはフォーンと呼ば
れる温暖な南風が通り気候がやわらげられ、夏はイ
タリアでも最も高い気温になるほどに日照条件にも
恵まれる。
急斜面の畑に植えられるのは冷涼地に適するリース
リング や ゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリ―
ジョ、シャルドネなど。
固有品種も多く南部のトレンティーノではスキアー
ヴァ種から美しいバラのような色の赤ワインが、そしてラグレイン種からも特徴あるワインが造ら
れる。北部のサンタ・マッダレーナ種からの良いワインができる。
それにしても、ゲヴェルツトラミネールもこの土地が原産。アルト・アディジェにある Termeno
(ドイツ語では Traminer)という街があり、ゲヴェルツトラミネールは「テルメーノのアロマ」の
意。これは知らなかった!

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今回の生産者は、アルト・アディ
ゲヴェルツトラミネールの原産地テ
ルメーノに位置する共同組合。
1898 年に創業、280 もの加盟員が
おり、230 ha の畑を管理。
畑はテルメーノ周辺の標高 250 〜
700 m の間に点在。

醸造責任者のヴィリー・シュテルツ
氏は 2004 年に「ガンベロ・ロッソ」
で年間最優秀醸造家賞を受賞するほ
どの人物。様々なこだわりで、100 万本という大規模生産者だけど、スタンダード・
キュヴェから上級キュヴェまで高い品質を保つ。

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標高 400 mの比較的温暖な渓谷に点在する畑。
砂・泥土・粘土の混じり合う土壌。
ステンレスタンクで発酵。

熟れた梨、ライチ、みかん、少しトロピカルな
ニュアンスも。それに白い花の豊かな香り。
この組み合わせ、ピノグリでフローラルさがこ
だけ出るのは標高の高さから、と講師でソムリ
のシャビさん。オイリーな口当たり(澱と一緒に
少し寝かせた印象)に、柑橘系のがしっかりあ
る。心地よい苦味もあって、長めの余韻が楽しめ
る。時間が経って温度が少し上がったら更にフ
ローラルさが出てきた。
シャビさんは暑さは全く感じない、と言っていた
けど、私はわずかに感じた。また土壌から来るの
かな、ある程度の重みもある。

ヴェネトなど他産地のピノ・グリ―ジョはこれほどフローラルさがなく、よりスモーキーで
ドライ。
スペインではピノ・グリス、ほとんどない。
ピノというくらいだから冷涼地の品種。
スペインの最北端とイタリアの最北端は全然緯度が異なる。

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標高 300 ~ 450 m の斜面の畑。石灰質を含む
砂・泥土・粘土の混じり合う比較的肥沃な土壌。

軽くプレスして発酵しただけの白でこの濃く輝く
黄金色!みずみずしいバラの花びらの香りが感動
するほど豊かでこれぞ冷涼地のゲヴェルツ、と感
じさせてくれる。さっきのピノグリの存在感が薄
くなってしまうくらいのボディ、厚み、甘み、苦
み、余韻の長さががある。
ドライな味わいで酸がしっかり感じられる。

ゲヴェルツトラミネール種がその良さを発揮する
のは冷涼さがどうしても必要なのだ。
スペインでゲヴェルツ白を造る産地といえばソモ
ンターノ。ラウスボデガス・ピリネオス、
エナーテビニャス・デル・ベロなどがゲヴェルツ
トラミネール 100 % でなかなか良いワインが造
られているが、バラの芳しい香りや酸が抜ける感
じはトラミンのそれより欠ける。
ただ、食事と一緒に楽しむ、という観点からすると、トラミンのゲヴェルツは 2 杯目が
キツくなり、料理とも合わせにくい。ソモンターノのゲヴェルツの方が料理と合わせ
やすく気軽にグラスが進む。標高の高い所では 700 m ほどでゲヴェルツを栽培して
おり、バランスの良い酸とフレッシュ感は伴っている。

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標高 350 ~ 450 m の丘陵地、白亜質の地層、砂利
を多く含む砂・泥土・粘土の混じり合った土壌。
一部を大樽、小樽、ステンレスタンクで発酵・熟成。

非常に淡いロゼのようなチェリーレッド。
イチゴ、ラクトース、若々しさのある香り、時間が
経ったらリコリスなどの繊細な樽のニュアンスが出
てきた。酸がしっかりあり非常にフレッシュ。
苦みはほとんどないけど非常に繊細な余韻の長さが
ある。標高の高さ、寒冷地からブルゴーニュのムル
ソーなどのものよりもっと淡い色調で繊細さを持っ
ている印象。ピノ・ノワールとはどういう品種かが
すごくよくわかる。
ピノはイタリアで北部のわずかな産地で栽培され
アルト・アディジェには樹齢 100 年を超す畑もあ
るそうだ。
スペインでもピノは非常に難しく、良いものは非
常にわずかだけど、例えばグラナダの 1300 m 級の高標高で造るバランコ・オスクーロピレ
ネ―山脈 1000 m の地でラウル・ボベ氏が造る アクスプ などがあげられる。
スタイルはアルト・アディジェとは全く異なり、冷涼さと共にスペインらしいブラックベリーの
果実味に酸とエレガンスがあるスタイル。
あのラウス・ぺレス氏もピノで赤を造っているらしい。飲んでみたいなぁ♪

スペイン固有品種で赤果実系で酸がきれいでエレガントさのあるポテンシャルのある品種は
コンカ・デ・バルベラのトレパット、ペネデス地区のスモイ、ガリシアのメレンサオ、
カイーニョなどだろうか。

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ボルツァーノの固有品種。
マロラクティック発酵・熟成を一部樽、一部をコン
クリートタンクで。

スミレのようなフローラルさ、赤果実、革・動物な
ど小樽のニュアンスも。
濃いめの色調だけど、味わいはボディや重さがそれ
ほどない。タンニンも非常に滑らか。








とても面白かった。
アルト・アディジェのワインはイタリア国内でもスタイルが非常に異なり、ほとんどが
地元で消費されるのだそう。他の産地のワインはスペイン同様もっとタンニンがあって
太陽が感じられるスタイル。

でも決定的に違うのは地形。イタリアは細長く、海に囲まれていて海に近いエリアが
圧倒的に多い。自然と海の幸を使う料理、それに合うスタイルのワインも多くなる。
変わってスペインは内陸を占める面積が大きく、自然と肉料理、重めの料理、タンニンが
強いがっしりした赤が好まれる。
同じ南欧で緯度も似ていて、共通点が多い印象を受けるが、実は色んな点が異なる
イタリアとスペイン。
最近イタリアワインに関して貴重な出会いをいただき、そんな認識を新たにした。

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オーナーのイタリア人レオナルドさ
ん(左)と講師のソムリエシャビさ
ん(右)。
イタリアワインに興味を持つ人は非
常に限られるスペインで啓蒙活動を
頑張ってる!拍手!

視野を広く持って比較する、考え
る、感じる。
とっても大事なことだと思う。
それがワインの楽しさでもあるの
だから。






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