DOカバを巡る動き

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早速国際的にもニュースになりだした。
いくつかのカバ生産者が DO カバから抜けることを決断したという動きについて。

いや、国際的にも、ではなく、スペイン国内ではあまりニュースになっていない
みたいだ。意図的に?

「カバ」の持つ低いイメージに嫌気がさし、 DO カバに頼らずマーケティングして
いく決心をした生産者が既に9社いるそうだ。

ラベントス・イ・ブランもこのほど DO カバから外れることを公式に発表した。
まさにカバを初めて造り始めたこの生産者が DO カバから出て行くことを決めた
その意味は大きい。
彼らは 15 世紀から代々受け継がれてきた彼らの遺産 = 畑、ワイン造りの歴史を
大事にする目的で、もっとテロワールを大事にしたい目的で、彼らの畑があるエリアの
昔から呼ばれていた「コンカ・デル・リウ・アノイア」を冠して新しく出発する、
としている。そのためにこれまでドメーヌ・カバとしてブドウを大事に、有機栽培に
徹し、徹底的な土壌研究をし、ラベントス・イ・ブランというブランドを高める
努力をしてきた。

「ソムリエ誌」9 月刊でワインジャーナリストの蛯沢登茂子さんがスペインワインの
この 20 年の変化について綴られた中でカバについてこう記している。

「シャンパーニュのレコルタン・マニピュランのものが台頭してきたように、自社畑
産のブドウから生産を行う小規模生産者のドメーヌ・カバが注目される時代がやって
きつつある。彼らは畑やそのテロワール、用いる品種、樹齢、あるいは有機栽培など
こだわる者が多い。大手生産者も、小規模生産者によるマイナー産地や品種の再生と
その成功に刺激され、生産地の多様化、単一畑や固有種のワイン生産を始める動きが
21 世紀に入り活発になってきた。」

DO 認定から 20 数年経ってやっと少しずつ周りの認識が変わってきつつあるこの
今の時期にこんな動きが出始めたこと、もったいない気もする。
DOカバを外れる優良生産者が増えれば増えるほどカバというブランドの形骸化は
避けられないだろう。

確かに、年間 2 億本以上生産されるカバのうち1 億 5 千本はフレシネなどの超大規模
生産者が占める。
スーパーマーケットに行くと、超低価格のカバがたくさん並ぶ。
一見、色んな銘柄があって多くの生産者のカバがあるように見えるのだけど、
そのほとんどがフレシネグループ。
それは確か。
そうした低価格カバばかりが世界中で普及していることから、高品質・高額カバが
なかなか認知されない。
それも確か。
超大規模生産者の強い影響力は、ブドウの価格から認可品種、収量、密植度、畑や
ブドウの品質よりレセルバ、グラン・レセルバなどの区分を重要視、DO が一か所に
固まっていないこと、などの DO 規制まで隅々まで行きわたっている現実に、同じ 
DO に属する意義を見失っている小規模生産者が多いのも、確か。

困難の多い現実があるなら、それを変えていけるようみんなで力を合わせてブラン
ディングできれば理想なのだろうけど、そうは行かなそうな雰囲気だ。

スペイン全体を見ても呼称の区分けは土壌や環境によるところもあるけど、政治的
図が入っている部分があるのも確かだし、その他、Vino de Tierra, Vinos de 
Calidad con Identificacion Geografica, Vino de Mesa、そして Vino de Pago と
わけわからないくらいに細分化されていて、複雑極まりない。
これだけ複雑だと品質の区別も明確にならず、そうした呼称自体に意味があるのか
さえ疑問に思えてくるくらい。そういう自由さはラテン系なのだろう、笑。

だからこそ、私たちは生産者を見るべき。液体を見るべき。

今まで既に一生産者としてのブランドを確立できているカバ、ではなくスパーク
リングワイン(笑)はそういうカテゴリーに関係なくやっていけるのだろうし、
そうじゃない生産者も出てくるだろう。考え方、姿勢は生産者によって様々だ。
これからの動向を見つめていきたい。

一つだけ言えるのは、こうした動きが出てきた理由は、スペインに高品質スパー
クリングは必要とされていなかったから、なのではなく、逆に品質を真剣に追い
求めるからこその動きである、ということだ。

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そして今年ももうあとわずか。
大切な人たちと美味しい泡、これからも
楽しんでいきたい。


DOカバに関する法規はこちら
























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コメント(4)

カバのレポート、興味深く拝見しました。せっかくカバの認知度が一般人にも広がりつつあるだけに、残念でもありますが…。「シャンパン=高級、カバ=安価・おトク」というポジショニングで広報してきた人やそれを歓迎してきた人がいたのも事実。祐子さんの意見に、乾杯!

井上さん、ほんとにね、ちょっと残念な気もしますよね。
シャンパンにだって良いものと悪いもの、高いもの安いもの、
ありますけど、ブランディングが全然違いますよね、カバとは。
生産者側も「低価格でおトク」感を打ち出しているところが
多いのも事実ですよね。
この動きがポジティブな結果につながって欲しいですね。

ほんとに!カバ=安いにうんざりです。うちはグラモナのインペリアルをグラスにして出しています。みなさん喜んでくれています。カバは安いだけではないんです!!!って声を大にして伝えたいですね。今回の試みに賛同します。でも何て名乗るんだろうか。気になりますね。

sakumokko さん、コメント遅れてごめんなさい!
グラモナのインペリアルがグラス!!
はぁ、素晴らしい。。そういうバルやレストラン、スペインに
だってなかなかないですよね、笑。ははは。
ラベントスは固有の名前をつけてますけど、他はどうなるんだろうなぁ。
追っていきたいですね、どうなるか。

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