「スペインワイン、寄り道の旅」 - チャレロ -

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MWであり、世界的なワインジャーナリスト、ジャンシス・ロビンソン女史のブログ

この水曜日の記事はチャレロ特集だった。


チャレロを固有品種としてクオリティが向上しているペネデス産地について、よく説明

されており、興味深いので、以下、訳をここに記す。


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「スペインワイン、寄り道の旅 - チャレロ -


リオハのクネやリベラ・デル・ドゥエロのベガ・

シシリアについて書いた記事については満足して

いるが、これから少し時間を割いて脇道に逸れ、

スペインの余り知られていないブドウ品種や産地

について綴ろうと思う。フミーリャやアリカンテ

のモナストレル種、マラガのロメ種、マンチュエ

ラのモラビア・アグリア種、シエラ・デ・グレド

スやプリオラートのガルナッチャ、ビエルソとリ

ベイラ・サクラのメンシア、リアス・バイシャス

の黒ブドウ、カイーニョ種、ガリシアのゴデーリョ種、そして、スペインの超個性的ワイン

シリーズの第一弾として、ペネデスでいわゆるブーム再来のチャレロ種について記す。

 

これらのワインの多くは少量生産で希少で手に入りにくいが、試してみる価値のあるもので

あり、または偉大なリオハやシェリーと並んでスペイン最高のワインになるポテンシャルの

あるものもある。

 

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ペネデスは、ナバーラやソモンター

ノと並んでフランス品種、主にカベ

ルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネ

を強く打ち出す数少ない産地の一つ

だった。このコンセプトが見合う時

あった。スペインは貧しい国で

スペインのワインは全く威厳がない

フランスワインはその全く逆で、魅

力的で世界最高のワインとされてい

た。理論は明確だった フランス

品種で偉大なワインができるが、スペイン品種ではできない。こうしてその流れに乗るワ

イナリーが出た。この作戦はしばらくの間認められたが、同じように新世界のワインも機

能し、そうしたワインたちとも競合しなければならなかった。突然それまでの強みが弱みに

変わり、市場は地場品種で造るワイン、国際的なわかりやすいワインではなく、異なる特

徴のワインを好むようになった。

 

バルセロナ県にあるペネデスは、スペインの様々な地域で(リオハでさえも)造られる

スパークリングワイン、カバの主要産地と重なるようにして位置している。ここで栽培さ

れるマカベオ(別名 ビウラ)とパレリャーダ、チャレロは当初からカバ用の主要3品種だ。

また、シャンパンのようなスタイルのスパークリングワインを造るためにシャルドネや

ピノ・ノワールも栽培されている。

 

ペネデスの新世代の若い醸造家たちはチャレロとその高樹齢の畑(若い畑も含め)に注目

し、ブルゴーニュの伝統的醸造法を用い、ペネデスのシャルドネから造る白よりもより

ブルゴーニュスタイルの白を造り始めている。チャレロを使って樽発酵、樽熟成をするのが

今のところのスタイルのようだが、リオハで過去素晴らしい白が造られてきているように、

マカベオも素晴らしいポテンシャルを持っていると確信している。しかし、チャレロの

白はブルゴーニュ白のようなテクスチャーと酸 -これはブルゴーニュより温暖な産地に

とっては重要な点である- を持っていることは確かで、それだけでなく、異なる個性を

持つ。いわゆる、大西洋の骨格で地中海の顔を持つスタイルで、それが温暖な産地の樽

発酵したシャルドネ白とはスタイルを異にする。

 

ここに紹介するワインの中には非常に少量で手に入りにくいものもある。これらの長熟の

ポテンシャルはまだこれから証明されることになるが、既に、熟成したシャンパンよりも

カバの進化(樟脳やバルサムのニュアンス)のように10年経って素晴らしく変化している

例も見受けられる。

 

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アレマイン・イ・コリオ、 ガラフ  

                          プロウ・イ・ファ・ソル 2010  ペネデス

17.5 点  飲み頃  20122019   12 %

イレーネ・アレマイン(ペネデス出身)とローラン・コリオ

(フランス出身)は若い夫妻で、2人がブルゴーニュで醸造を

学んでいた時知り合った。彼らはペネデスに落ち着き、ボル

ドー品種と土着品種カリニェナをブレンドし良質でタンニン

豊かな赤ソット・レフリエクを1999年から造り始めた。

この赤は飲み頃になるまで長い時間を要すため少しずつ売れ

ているが、彼らが初めて白をリリースした時は、あっという

間に完売し、今では引っ張りだこである。2008がこの白の初

ビンテージで、プロウ・イ・ファ・ソル、カタラン語で

「雨のち晴れ」を意味し、童謡の歌詞からとったものだ。

チャレロが主要で、ペネデスの一地区、ガラフのマルバシア・

デ・シッチェスが15 ブレンドされている。ノン・トーストの300ℓ容量オーク樽で

発酵・熟成、最もピュアなブルゴーニュスタイルだ。

樽のニュアンスはまだはっきりしていて、わずかにコシュ・デュリやルフレーヴのスタ

イルに似ていて、スモーキーな澱、炒りごまの香り、クリーンで緻密、白果実やウイ

キョウ、ミント、柑橘系のニュアンスも。味わいは、非常にフレッシュでインテンス、

良い重さもある(またムルソーが頭に浮かぶ)。どのように熟成するか非常に楽しみだ。

今の時点でも楽しめるが、まだとても若く、瓶熟するにつれより複雑さが増していくと

考える。

 

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カル・ラスパリェット、 

  ヌン・ビニャ・デルス・タウス 2009  ペネデス

16.5    飲み頃 20132017  13 %

この白は、トレラビ村に位置する0.9haのタウス畑のビオディ

ナミ農法で栽培された樹齢65年の単一畑チャレロのワインで

ブルゴーニュスタイルで造られている。

オーナーで家族が畑を所有するエンリック・ソレルはプリ

ラートのクロス・エラスムスで醸造を担っているエステル・

ニンのサポートを得た。ブドウは除梗し、12時間低温浸漬、

低温で発酵(1314℃)しピエス(新樽比率 60 %)で 

か月熟成。

ほとんど赤みがかっている濃いイェロ―カラー。樽のニュ

ンスを香りでは強く感じるが、味わいは良い凝縮度で、

り、テクスチャー共にブルゴーニュ白を思わせる。

樽使いや価格設定にその情熱を見てとれるが、国際的な視点

に基づくものだ。レモンのような酸とクリーミーさ、そしてスパイシーな樽のニュア

ンス、そしてわずかに塩気が口の中で感じられ、良いストラクチャーがありながら、

バランスが取れフレッシュさを伴うスタイルだ。生乳ソフトチーズと共に楽しみたいが、

樽のニュアンスがより溶け込むよう、もう少し保管すべきである。  

 

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カン・ラフォルス・デルス・カウス、 

        チャレロ パイラル 2005  ペネデス

17     飲み頃 20092015 13.5 %

カン・ラフォルス・デルス・カウスはペネデスのガラフ

地区の素晴らしい場所にある。オーナーであるカルロス・

エステバ氏の企業家精神により、特に余り知られていない

品種のみを栽培し個性溢れるワインを造る。この造り手の

カバも素晴らしいが、特にスティル白は秀でている。

これは栗の木樽で発酵・熟成したピュアなチャレロ白で

ある。最新ビンテージは2007で、収穫して数年後にリリー

スされるため、それだけでチャレロの長熟のポテンシャル

に対するこの造り手の信念を感じる。ちょうど2005ビン

テージを個人的に保管しているので、どのように熟成して

いるかを見るには興味深い。このワインは樹齢60年の畑の

チャレロを使い、栗の木材(オーク材よりより中和的な木材)の新樽で1214か月熟成。

彼らはまた上級キュヴェでインクロシオ・マンゾーニ種でロカリス、ビニャ・ラ・カルマ

畑のシュナン・ブラン単一畑白ラ・カルマも造っている。

熟成を物語る色調、ゴールド系。初めわずかに還元が感じられ、それから熟成したリース

リングを思わせる重油のような香り、樟脳などの豊かなバルサム香、熟成したカバを思わ

せるローリエ香、そして骨格に熟した黄果実。ハチミツや焼きリンゴを伴うナッツ香(樽

由来ではない)もわずかに。味わいは、ボディがあり、チャレロの特徴であるしっかりし

たストラクチャーと酸が感じられる。しなやかで丸みがあり、非常に長い余韻。個性豊か

なワインである。白肉や鳥肉と合わせて。熟成白がお好みでない場合は若いビンテージの

もので。 

 

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マス・カンディ、 デシッチ ブラン 2010   ペネデス
16    飲み頃  20122015 13 %

フランス品種が氾濫し、しまいには市場から認められなくなっ

たペネデスで産まれた新しい白の一つである。マス・カン

ディのようなワイナリーは特に白ブドウのチャレロなどの

土着品種を見直し、デシッチを造った。シュル・リーで 

月ほど熟成。

青みがかった淡いイェロ―カラー。軽やかでフレッシュ、

ローラル(白い花があるように思う)のニュアンス、リンゴの

グラニー・スミス種や洋梨も思わせる。樽のニュアンスは全く

なく、空気に触れさせ時間を置くと薬効のあるスタイルに。

サラダや野菜のグリル(カタルーニャ料理のエスカリバーダな

ど)など軽い料理と。 

 

 

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パルダス、 チャレロ 2008  ペネデス

16.5    飲み頃 20112015  13.5%

ペネデスのビオディナミ農法による代表的な生産者の一つ。

サン・サドゥルニ・ダノイアに近いカン・コマスと呼ばれる 30 ha 

畑で1996年からスタートしたプロジェクト。1998 に植樹し古樹の

畑を再構築し、2004年に初ビンテージをリリースした。畑が年を重

ねるほどワインはクオリティを増しており、この2008は今までのビン

テージで最高の白、ブルゴーニュスタイルのチャレロ、である。

カベルネ・フラン主体の赤も造る。

スパイスとスモーキーな香りが非常に豊かで、ナッツやポップコーン

ゴマの種、バルサムなどのニュアンスも。樽香も強い。味わいは、

タンニンが多く、クリーミーさがあり、同時に酸を感じる白果実の

ニュアンスもはっきりある。長い余韻で続性があり、なめらか。」


以上。


どれも個性的でクオリティ高いチャレロばかりだ。世界的にはこうやってスペインの個性

あるこだわりのワインがどんどん注目されてきている。日本でももっともっと注目されて

いいはずだ。

ペネデスは、ここ数年で、中小規模の造り手で固有品種チャレロやスモイ、ガルナッチャ、

また高樹齢のカベルネ・ソーヴィニヨンなどで低収量でブドウのクオリティにこだわった

ワイン造りをする人たちがどんどん出てきている。また、DOペネデス統制委員会の会長に

アルベット・イ・ノヤ社のオーナー、ジョセップ・マリア・アルベット氏が去年就任し、

精力的にペネデス産地の改革を始めているようです。例えばチャレロ種をペネデスの

フラッグシップ品種とし、品質向上を図ったり、お隣県のデルタ・デル・エブロの牡蠣との

マリアージュのPR活動を行ったり、また、ペネデスという大きなくくりだけでなく、

5つのエリアに正式に区分することで、より各エリアの特徴を明確にしペネデスワインの

ブランドイメージを向上させる動きも見せている。また、アルベット・イ・ノヤ自体が

カタルーニャでオーガニック栽培の先駆け的存在ということもあり、ペネデスで栽培され

るブドウ全てをオーガニック栽培に替えていくという考えも持っているなど、どこまで

実現するかは未知数だが、精力的に改革を進めていて、今後が楽しみな産地となりつつ

ある。




 

 

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