2年前までカタルーニャテレビ (TV3) で2シーズンに渡って放送されたワイン番組
「En Clau de Vi」
が、この9月、久しぶりにお茶の間に戻ってきた!
番組のディレクター兼司会はスペインのワイン界では有名なマルセル・ゴルゴリ氏、そして、
ミシュラン三つ星レストラン「セイェル・カン・ロカ」のソムリエ、ジョセップ・ロカ氏が
コメンテーターとして務める。

前シーズンまではスタジオでゲストを呼ん
で、ワインを紹介するスタイルだったけど
今シーズンから、カメラをワイナリーに移
して制作するようになった。
毎回一人の造り手を紹介、その人のワイナ
リーやブドウ畑を訪れ、ワインが自然の恵
みであること、どんな人がどんな思いでワ
インを造っているのか、そういうのがより
分かる内容になっている。
記念すべき第一回の主役はサラ・ペレス。

プリオラートの4人組の一人
ホセ・ルイス・ぺレスの娘で
あるサラ。
モンサン、プリオラートを中
心にディド、ベヌス、Els
Escurçons、Vinya del Vuit
など、様々なワインを造るし、
他の産地でコンサルタントと
しても活躍するなど、スペイ
ンの女性醸造家と言ったらま
ずこのサラが頭に浮かぶほど
スペインを代表する醸造家の
一人だ。
彼女のワインはどれも女性ら
しい繊細さや上品さがあって
私は好きだ。
旦那のルネ Jr. や他の醸造仲
間とワイン造りをしたりも
する。
番組では、父親ホセ・ルイスが創業したMas MartinetのEls Escurçons という赤ができる
ガルナッチャの畑を紹介している。
気持ちの良いお天気で畑を散策したり、畑にテーブルを置いて、みんなでピクニック気分で
ワインやタパスを楽しんだり、ワインができる場所がより体感できるような番組になっている。
名称 : Els Escurçons 2007
品種 : Garnacha 主体、Syrah
産地 : DOQ Priorat
生産者 : Mas Martinet Viticultors

この回で興味深いのは
17'30 頃から始まる
「pie de cuba」
「樽の底」を意味する
「pie de cuba」は、
野生酵母でアルコール発酵するた
めの準備段階。
収穫の数日前に熟したブドウを一部
採り、樽に入れて自然発酵させる。
足で踏んで更に発酵を促進させる。
数日後、同じ区画のブドウを収穫し
この自然発酵させておいた果皮、果
汁を各発酵タンクに添加することで
発酵を促進する。
ブドウは採ってそのまま放っておいても自然に発酵する。それは畑の土やブドウなど、
自然界にたくさんの酵母が存在するから。でも、アルコール発酵に適する酵母というのは
その全てではなく、限られた酵母だけ。例えばサッカロミセス・セルビシエ。
サラの Els Escurçons という赤はこの野生酵母のみで醸造しているそうだ。
現代の近代化したワイン産業では、野生酵母の他に培養(選択)酵母を使うオプションも
あり、世界中のワイナリーのほとんどがこの培養(選択)酵母を使っている。
発酵の仕組み、野生酵母と培養酵母の違い、野生酵母による発酵の不安定性・リスクなど、
詳しいことは、私がニュースレターをいただいてワイン全般のことについて非常に勉強さ
せていただいている「ワールド・ファイン・ワインズ」というサイト
に説明されている。
このサイトにも書かれているように、野生酵母と培養酵母のどちらが優れていて、という
優劣の問題ではなく、造り手の哲学、どんなワインを造りたいか、それによって使い分け
れば良いことなんだと思う。
個人的には、培養酵母がいわゆるワインのグローバル化の原因の一つになっているのでは、
とも感じる。例えば、世界中で栽培されているシャルドネが柑橘系、バナナ、洋梨など
一様に品種特性として感じることができるってことはよく考えてみるとおかしい。
同じ品種でも環境が全く違ってその土地土地の個性がもっと感じられていいはずなのに、
それが余り感じられないのはシャルドネに適し、品種特性をより強化させる培養酵母が
使われているってこともあると思う。より自然な状態で、人工的なものを加えず、
ブドウが産まれる土地を丸ごと表現するために野生酵母のみを使うことに私自身も浪漫を
感じる。ただ、野生酵母による発酵のリスクや、海を越えて世界中で遠い国からのワインを
楽しめる恩恵などを考えると、培養酵母は必要だし、結局は、プロセスよりも、飲んで
美味しいと感じられるかどうか、魅了されるかどうかが大事なんだと思う。
どんなやり方でも情熱、愛情を持って携わる造り手のワインは感動をくれる。
でも、こういうことをちょっとでも知ると、世界中に存在するワインのことをより深く
わかるようになるのでは、と思う。
化学的なこと全く不得手だけど、もっと勉強してみたい!
さて、今夜はルネ・バルビエが登場だ!





シャルドネと培養酵母。
日本酒では山田錦と協会酵母。
ワインも日本酒も似たような感じですね。
なんかの本で読みましたが、一時期「シャルドネ以外にして」というのが流行っていたそうですね。
当たり障りのない味わいにすれば売れる。しかし、飽きられますからね。日本酒離れもそういう要因があったのかもしれませんね。
ほんとですね。
「ABC (Anything But Chardonnay)」ですね。
考えてみれば育つ環境も場所も気候も全然違う
ところで造られるワインが、同じ品種で造られた
からといって同じ特徴が出るって普通じゃない
気がします。
これも培養酵母の助けがあるからだと、私は
感じています。
山同敦子著「愛と情熱の日本酒」という本を
先日読みましたが、個性を大事にこだわって
造っている酒蔵の情熱にとても感動しました。
ワインも日本酒も同じですね。