日本の雪国で育つブドウたち ① ドメーヌ・タカヒコ(北海道余市町)

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今回の日本で二つのワイナリーを訪れることができたのだけど、

偶然にもどちらも豪雪地帯だった。

 

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第一弾は北海道余市町登地区でワイン造りを営むドメーヌ・タカヒコ

 

造り手の曽我さんは、7月に東京で開催された

ピノ・ノワールグランドテイスティングにもゲストとして招待されていて、

そこでヨイチノボリ キュムラを試飲し、是非ワイナリーを訪れてみたいな、

と思ったのがきっかけ。

以前からもお噂、評判は伺っていたし、すっごく気になっていたのだけど、

スペインではまだ入手できず(笑)、日本でも入手困難なワインで、

飲む機会がなかったのだ。

 

私が好きなワインとは五感に感動をもって訴えてくるワインで、そういう

ワインは、造り手の自然への慈しみ、その土地本来のものへのリスペクト、

哲学、情熱、そういったものに支えられていることが多く、曽我さんの

ワインもそんな印象だった。

 

加えて、ブドウの成熟がゆっくりで、香味が繊細なため、あらゆる要素で

バランスが取れていないとワインに如実に現れてしまう、イメージしたような

ものになりづらい気難しい品種、ピノ・ノワールである。

 

113月現在、北海道でピノ・ノワールを単一品種の自社ブランドでリリー

スしているワイナリーは16社あるのだそうだ(「ヴィノテーク」誌 11

5月号より。同号、大変深いピノ・ノワール特集で面白いです!)。

10年近く前から、北海道ワイン(小樽)、グレイスワイナリー(千歳)、

はこだてワイン(函館)が初めて北海道でピノワインを造り始め、山崎ワイ

ナリー(三笠市)がドメーヌ・スタイルでピノを造り始めるなど、北海道

ピノ・ノワールの歴史が始まった新世紀、2009年に曽我さんは余市に移ってきた。

曽我さんは、もともと小布施ワイナリーの次男として生まれ、ココファー

ワイナリーで10年以上栽培の責任者として活躍。ココファームは栃木でワイ

ン用ブドウが十分に採れないことから、日本全国からブドウを買いつけていて、

それで北海道のピノのポテンシャルに魅せられたそうだ。

 

「北海道という極寒の土地でワイン用ブドウが垣根仕立てで育つのは雪が

あるからこそ。」

という曽我さんの言葉がとても印象的で。

 

北海道は極寒の地。北緯にするとフランス南部とほぼ同じで、そんなに北で

はないが、冬は ‐20℃までがるなど厳しい寒さ。だから普通はワイン用ブドウ

栽培は不可能。余市で可能なのは、雪が降るから。冬の間、雪が積もっている

ことで、樹は雪に埋もれる。

雪の中は0℃以下にはならないから、樹が守られる。そして余市は海の近くでも

あり、ある程度の湿度もあるため、ワイン用ブドウが栽培できる、世界でも

珍しい気候条件下にある。

しかも雪が降るだけではなく、毎年「安定して」降ることが大事で、そうした

条件があるからこそのブドウ栽培なのだ。

 

萌芽は56月。雨が降ることも日本の大事な特徴。その風土を大事に。

 

収穫期は早くて10月中旬から11月中かかる。

 

その余市だからこそできるワインを造りたい。海外の産地のスタイルを真似る

のではなく、この土地本来のものを表現する、自分らしいワインを造ろう、

それを目指す曽我さん。

 

赤ワインは2008が初ビンテージで、現在は木村農園からブドウを購入して

ワインを造る。樹齢25年のピノだそうだ。今後は2009年に植樹した 2 ha

自社農園のピノを使ってワイン造りをする方向。

 

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標高60mほどの緩やか

斜面の自社農園。

「標高100m以上にな

ると海道では寒すぎ

てブドウが育たな

す。」

確かに!

 

3600 /ha ほど。

上の方は粘土質、下の

方は砂が多くなりより

肥沃、特に若い樹は

の成育スピードの違い

が良くわかる。

 

 

 

 

 

 

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一昨年植樹したピノ。

無農薬で栽培。

 

ピノには石灰質が良

しとされるけど、石

灰じゃなくてもいい。

その土地本来のものが

伝わるブドウ、ワイン

ができればそれが

スト。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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樹が斜めに仕立てら

れているのは冬季の

雪の重さに耐えられ

るようにするため。

雪国の智慧だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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名称 : Yoichi Nobori Kyumura 2009
品種
: Pinot Noir 100%
産地 : 北海道余市

生産者 : ドメーヌ・タカヒコ

 

醸造所では2010のピ

ノのバレルサンプルを

試飲させていただいた。

 

全房のまま、酵母を添

加せず自然な発酵を促

す方法で醸造する。

 

全房は、果梗の成熟レ

ベルも適切でないとい

けないため、えぐみが

出やすく大変ではな

ですか、

との問いに

 

 

全房で醸造することで出てきやすい青み、えぐみ、そういうのって

きゅうりなど色んな野菜にあるもので、野生酵母で酵素がゆっくり働く

ことでそれがポジティブなものになります。工業製品にはできないこと

です。自然界に存在する菌や酵母、微生物を目一杯働かせてあげることが

大事だと思っています。

全房で醸造するのはその動ける菌を少しでも増やすためです。」

と。

 

亜硫酸無添加なのも、それが目的。

乾燥酵母を添加せず、野生酵母のみを使用するのもそれが目的。

 

曽我さんのピノ・ノワールは色素はとても薄いのに香りが高く、亜硫酸を添加

しないことにより、自然界の微生物がワインの中でも「生き」、複雑さと深さの

ある香味だ。いわゆる「うまみ」を

感じる。そしてとても繊細で。ピノの繊細さ以上に繊細な感じで。

それが日本らしさなのかな、とも。

 

「逆に除梗という技術は近代のものですよね。昔は全房で醸造していて、

じゃぁ飲めないワインが造られていたのか、というとそうではないですよね。」

 

発酵国である日本。自然に発酵させることで表現されるワインの複雑味、

いわゆるうまみも日本人の味覚に合うものだと思う。

  

背伸びしないで日本らしいワインを造る。

 

DSC02066.JPG 

 

 ピノ・ノワールは現在は

 3000本ほどの生産。

 2 haの畑で将来は 2 アイテ

 ムで10,000本くらいまで造

 る予定だそう。

 

 白はケルナーとミュラーを

 造っていて、1,300本ほど。

 

 曽我さんの白も赤同様全房で、

 醸造前にマセレーションまでは

 行かないレベルで醸して菌を

 動かしてあげる醸造。

 是非飲んでみたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

yoichi_vinos.jpg「現在、リリースされているワインの原料には、自社農園近くの畑で収穫

された葡萄が使用されていますが、自社農園の葡萄でないため、ラベルには

ドメーヌ(Domaine)表記がされておりません。造り手である「タカヒコ 

ガ」の名前だけが明記されたワインとなっております。

様々なリスクはありますが、2016年頃には100%自社葡萄(ドメーヌ)になる

ことを目指しております。)」

 

こういうところにもしっかりした哲学を持つ。

 

日々の作業で真っ黒に焼けた顔に笑顔がまぶしく、気さくで温かいお人柄の

曽我さん。余市の風を感じながら、光を感じながら、とても満ち足りた貴重な

ひと時を過ごさせていただいた。

 

曽我貴彦さん、本当にありがとうございました!

 

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北海道のしっぽの部分を

函館からニセコ、積丹を

ぐるっと回って余市、小

樽、そして札幌と旅した

だけど、積丹半島の

光明媚さには超感動!

「積丹ブルー」と呼ばれ

るほどの海の青さ、透明

さは本当に素晴らしく。。

海沿いにたくさんの漁師の

村があって、イカが干され

て風にそよいでいたり、

漁船が出港したりするのを

見ながら、心地良いドラ

イブだった。

 

 

 

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なんといっても北海道の

海鮮はこの上なく美味し

く、父親にお薦めしても

らった積丹町の中村屋

食べたバフンウニとムラ

サキウニの盛り盛り丼は

本当に美味しかった!

甘みやコクがあって、雲

丹ってこんなに美味しい

んだぁ~。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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コメント(4)

日本の白ワインは中々のものがありますが、赤はちょっと・・・。と、偏見をもってしまうんですよね。

それにしても、よく作りにくいピノ・ノワールにチャレンジされていますね。

どんなワインでしょう。ピノ好きには興味がわきます。

>眠狂四郎さん、ご無沙汰しております!是非飲まれてみてください! 北海道のピノはポテンシャル、あるようですよ!
 ピノ好きの方には是非知っていただきたい日本のピノです!
 いつもコメントありがとうございます!

曽我さんって本当に面白い(魅力的)ですね!
祐子さん試飲できたんですね。ズルイ(笑)

それにしてもここまでのウニ丼、見たことありません。

>yana1961 さん
本当に、魅力的な方です、曽我さん☆
まだ樽で眠っているピノを少しいただきました!
yana1961 さんは、全てお持ちじゃないですか!笑
今度購入しますので、取っておいてください、笑。
私もこんなウニ丼、見たことありませんでした!

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