ラベントス・イ・ブラン カバの歴史を生きる生産者

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日本でも手に取ることができるラベントス・イ・ブランのカバ。(日本酒類販売さん取扱い)

実は、私は、あまりこのカバ、飲んだことがなく、知識不足で間違ったイメージを持っていた。
ラベントス・イ・ブランは、コドルニュの創業者であるジョセップ・ラベントス氏から3代目の
ホセ・マリア・ラベントス氏が、コドルニュから独立して創業したのだ。
だから、同グループとして、大量生産で、低価格かつ安定品質のカバ造りをラベントス・イ・
ブランもしているのだろう、くらいに思っていたのだ。

ところがどっこい、訪れて発見したのは、自社畑のみから長期熟成のこだわりのカバのみを
造る、異なるスタイルの生産者だった。

カバの歴史をひもとくと、最初に現れるのがコドルニュ社。後に創業者となるジョセップ・
ラベントス氏がチャレロ種で瓶内二次発酵のスパークリングワインを初めて造った。
これがカバの始まり。
それまでは、ミステラ、赤ワインが主だったこの地で、ドライな泡ものがいけると直感した
のだそうだ。しかし1914年からスパークリングワインビジネスを始めたフレシネと対抗する
ために、コドルニュは品質を重視したカバ造りをするのではなく、フレシネと同じような
価格競争に入ったことにより、その哲学に納得できなかった3代目のホセ・マリア氏が独立し、
コドルニュの真向かいにラベントス・イ・フランを創業したのだった。

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すぐ畑に案内してくれた5代目のペップ(ジョセップ)さん。
樹齢70年のチャレッロ種の畑で。

小さい頃から栽培・醸造に自然に触れ、マドリッドで醸造学を学び、バルセロナでソムリエ
資格を取得、ドイツ、フランスなど様々なワイナリーで醸造・栽培を実地で学び、フランス
のRM、シャトーとのつながりも深いペップさん、それでも知ったかぶりしないで、分からない
ところは分からないと素直に言いながら、真摯に説明してくれた。
「私たち人間が良いカバ、ワインを造り出すのではなく、全てブドウが、自然が、教えて
くれるものを伝えるべく形にするだけ。」

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共に訪問した、ブログCatavinoを運営するアメリカ人のガブリエラと剪定を教わった!

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芽の部分が上に向くように、根に近い2つの芽のみを残して剪定。
枝が二つに分かれていたら、2年目の枝と1年目の若い枝を見極めて、2年目の枝を切って、
1年目の枝のみを残す。
1つの芽から最大2房のブドウが生るという。

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アントニオ、ルイス、フアンさん、熟練の作業者さんたちがしっかり畑を守っている。

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電動剪定鋏みを持つガブリエラ。

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興味深い栽培方法として、ゴブレの状態をツルを上に這わせて垣根式にしている。
もともとの栽培状態を壊さずに、垣根式の良い部分を取り入れた方法で印象的だった。
120haに及ぶ畑は、環境を大切にしながら、ブドウの品質も重要視する自然派栽培。

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区画 グラン10。樹齢70年になるチャレロ種。
標高250mほどの丘の斜面で北向きの畑。この土地は地中海性で温暖なため、冷涼さを
求める必要がある。凝縮感、爽やかさ、深さのあるカバ造りに大変重要なブドウ。

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醸造所内を案内してくださった4代目のマヌエル氏。
「近代技術は、ブドウの個性をそのままグラスまで伝えるための助けになってくれる
べきもの」。最高のカバ = その土地のブドウの個性、テロワールが感じられるカバ
を目指す真剣な眼差しは印象的だった。
驚いたことが、スペインでは習慣がない、社内での業務のローテーションをやっていること。
お互いの仕事を尊重、より良く仕事の流れがわかる、チームで働く、スタッフへの教育の
重要さ、単調になりがちな仕事のモチベーションを上げる、それをすごく心得ていらっしゃる、
マヌエル氏。
スタッフ30人で常にコミュニケーションを取って、オーナーだけが決定権があるのではない、
一人一人の意見を尊重して、仕事をしている、そんなマヌエル氏の哲学が目に見えてわかった。

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名称 : Manuel Raventós Gran Reserva Personal 1999
品種 : Macabeo 25%, Xarel.lo 25%, Parellada 40%, Chardonnay 10%
産地 : DO Cava
生産者 : Raventós i Blanc

4代目マヌエル氏の名を冠したグラン・レセルヴァ。
1999から2002まで垂直試飲をさせていただいた。
1999は、奥行きのある、ハチミツの芳香が素晴らしい、6年の瓶内熟成とは思えない
果実の活き活きさを失わない、エレガントでピュアなカバ。
2001ビンテージからチャレロとパレリャーダのみを使ったスタイルに変更。
同じ銘柄でも、全く違うカバだ。

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マヌエル氏がご一緒くださった。

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敷地内にあるステキな広間でマヌエル氏、ジョセップの奥様、国際マーケティング
担当のフランセスク、イグナシと、Catavinoのガブリエラとお昼を過ごしながら、
様々な話をすることができた。

その中で、興味深かったのが、ラベントス・イ・ブランの人達は、彼らのカバを「カバ」と
いう定義を超えた存在にしたい印象を受けた。いわゆる「カバ」はシャンパーニュと
比べてどうしても低品質のイメージが否めず、そうではなく、歴史は違えども同じ醸造
方法で造られるカバを優劣ではなく、異なるワインとして消費者に見てもらいたい、
という気持ちの裏返しなのだ。
そういったイメージを払拭するには何が必要か。
やはり、生産者が消費者を教育していく必要がある。もっと、ワイン・カバ、それが
造られる背景、環境、そういったものを肌で感じる環境を用意して、正しい知識を持って
もらう、ワインツーリズムはその最たる方法だと私は思う。
ラベントス・イ・ブランは、まだワインツーリズムを取り入れていず、本当に興味を持って
来てくれる人にはいつでも受け入れるが、結局、フレシネやコドルニュのように、毎日の
ように観光バスで大人数のグループがやってきて、それを対応する要員もいなければ、
逆にそういう対応をすることでイメージが悪くなってしまうことを恐れてもいるようだった。
小規模生産者は特に畑も見て、醸造もして、様々な展示会や試飲会に参加、営業活動もして、
と、とにかく朝から晩まで週末もなく働く人達を多く見ているから、ほんとに大変なこと
なのだ。要員不足というのは最大のネックなのだと思う。ただ、シャトーヌフ・ドゥ・パプを
訪れた時に見た、大小あらゆるワイナリーが、入り口に「見学できます。」の看板を立てて、
受け入れることができている風景を思い出すと、認識・姿勢の問題なのだな、とも思う。
また、生産者同士でもっと一丸となって様々な奨励イベントを企画するなど、色々な方法を
使っていくべきだ。

その生産者の方々の最高のカバを造ろうとする情熱、熱い夢、全てのスタッフが一丸となって
働く姿勢、プロとしての志の高さ、そんなことをたくさん感じることができる訪問だった。
足を運ばないとわからないことがたくさんありすぎて、、
これからも、もっともっとワイナリーに行きたい!

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ロゴにも使われているワイナリーのシンボル、樹齢500年以上のオークの木。
今年1月に入って雨が多く、雪も降ったそうだ。
そして、突然、木が傾き始め、倒れてしまったそうだ。
この土地を何百年も見つめてきた大きな大きな木は、それでも生き生きとして、これからも
ずっとずっとこのワイナリーの歴史の証人になっていくように思えた。

ラベントス・イ・ブランのみなさんには本当に感謝。

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