アルス・ヘリピンス 固有品種スモイ種から造る珠玉の希少ビオワイン

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アルス・ヘリピンス

このワイナリーに出会ったのは今年の3月だった。
ワイン店での試飲会で試飲した時、ペネデスに本当の意味でのポテンシャルが
あることを直感したワイナリーだった。
ワインのことを説明してくれたオーナー・醸造家のウリオールさんも、とても印象に
残る人だった。ワイナリーを訪れた時、そういった直感が正しかったという結果に
なったのは、ウリオールが、ワインやワイナリーのことを説明する際に実際に自分
たちがやっていることからずれないよう、言葉を選びながら話していたことが
大きいと思った。

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まずびっくりするのはボトルのデザイン。
家族経営のこのワイナリー、グロリアとウリオール夫妻の当時5歳だった娘さん、
ベルタちゃんが考え出した魔法の言葉「ヘリピンス」。
妖精の名前として考えだされたこの名前はベルタちゃんのあだ名にまでなって、
家族の中でとても大切な名前になっていったのだそうだ。
その名前がワイン名になったのはこの家族にとってごく自然なことだったのだ。
ボトルは全てマーカーで一本一本手書き。
キャップシールも松脂蝋で、自然なものから。
とにかく全てが手作りのワインだ!

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ウリオール、ベルタ、グロリア、愛情溢れる3人が織り成すアルス・ヘリピンス

ウリオールは、もともとお父さんの経営するレストランで働いており、その時に
ワインに惚れたのだそうだ。実地の勉強を、とプリオラートのClos Mogadorに
弟子入りして醸造を学んだ。その後、様々なワイナリーのコンサルタントをしたり、
勤務したり、様々な近代的醸造技術で造る高品質、高評価のワインを色々な
環境で造ってきた。しかし、マニュアル通りのワイン造りには疑問で、自分で
自分のやり方でワインを造ることを決意。スペインだけでなく、フランスのニコラ・
ジョリー、フィリップ・パカレ、プリューレ・ロックなど、ブルゴーニュのビオディナミ
大家たちとも交流するようになり、ビオディナミに傾倒、2001年が初ビンテージ
だが、2003ビンテージからその影響が表現されている。

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ワイナリーのある場所はペネデスの奥地、標高600m、畑のある場所は約700m。
大陸性気候ではないけど、厳しい冬、朝晩の気温差が大きい。真夏でも夜は
外で半袖でいるのは不可能なのだそうだ!グロリアは農学士でもあり、植物や
地域の生態系にとても詳しい。ビオディナミだから、化学薬品や農薬は一切
使わず、周囲の自然をそのままに受け入れて栽培する。
べト病などを防ぐために、カルドという紫の花やにんにくをお湯で煎じて、
それを畑に撒くのだそうだ。また、葉っぱが健康に育つために、牛乳を撒い
たり、海草を煎じて撒いたりもするのだそうだ。

ブドウはこの土地の伝統品種スモイ種。酸度が高く、色が出にくく、タンニンが
少なくとても難しい品種。でも適熟させれば長熟のポテンシャルを持つ。
ペネデスにはこのSumoll種が昔から固有品種として多く栽培されていたが、
それが市場のニーズ、原産地呼称統制委員会の規制により、どんどんカベルネ、
メルローなど他の外来品種にとって替わられていった。
わずかに残る古い樹齢のスモイ種と、ガルナッチャを少しブレンド。

全てを自然のままに、その土地・環境だからこそできる唯一の味わいを。
その伝統回帰の考え方、ビオディナミ、そして、ブルゴーニュへの傾倒、これが
融合してできたのがアルス ヘリピンスの赤だ。

Fotos 028

名称 : Els Jelipins 2004
品種 : Sumoll 60%, Garnacha 40%
産地 : Vino de mesa (Penedes地方)
生産者 : Els Jelipins

Els Jelipins 06032009 015

収穫後、軽く選果後、除梗しないでマセラシオン、発酵中、ピジャージュで軽く撹乱。
熟成には600ℓの大樽(フードル)はスロベニア・フレンチオーク、木を曲げるために少し
焙るだけのトーストのない樽や、アンフォラを使う。
熟成後にクパージュを2〜3か月かけてやる。日によってワインの味わいも変わって
くるから、1週間などで味を決めることはできない、との信念から。
ファイニング、フィルター、安定化処理など一切せず、自然そのもの。
2500本分のブドウを収穫しても、品質にこだわりできるのは1200〜1500本。

現行ビンテージ 2004は、完璧な気候条件で素晴らしいブドウがとれたのだそうだ。
ブルゴーニュスタイルのエレガンス、爽やかさ、フィネスを持つこの赤。
スペインではなかなか出会えない味わいだ。
他のカタルーニャのワインとは特徴を異にするこのワイン、一般市場ではなかなか
受け入れられず、本当にワインをわかるソムリエがいるミシュラン3つ星レストラン
(サン・パウ、ムガリッツ、エル・ブジ等)やワイン店などでしか置かれていないそうだ。

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印象的なウリオールの言葉「全てを決めるのはブドウ。Quien nos manda es la uva. 」。
だから毎年、醸造方法も自然と変わってくるし、その年の気候、ブドウの状態で、
まっさらな状態から分析する。過去のデータなどから〜すべきだ、ということは一切
しない。pH、残留糖度、アルコール度なども記憶にはあっても、データとして残さない。
毎年ブドウと、自然と、対話しながら造られる素直なワイン。アルス・ヘリピンス。
これからの成長がとても楽しみだ。

こんな貴重なワインが日本でも手に入ることに!
スペインワイン商のHさんとワイナリー和泉屋さん新井社長さん(またまたお写真、
お借りしました。ありがとうございます!)のご尽力で、秋口には日本初上陸!
あぁ、本当に楽しみだ。

ワイン通販サイト、ワイナリー和泉屋は、フランスやイタリアを始め、おいしいワインを販売します

このワイナリーに出会って、スペインは全ての地域において、今、本当に良いものを
造ろうとするエノパタ(ワインフリーク)な生産者がたくさん潜在しているんだと改めて
実感した。

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コメント(4)

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元気!?夏の予定は??
このワインは知りませんでした!!試してみたい!!!こういうワインにあうとうれしくなってしまうね〜。

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>HANAちゃん!元気だよー!なんだかバタバタやってるよ!夏は、日本だすー!ほんとにほんとにすんばらしいワインだよ!Laviniaでゲッツできるよ!HANAちゃんとまた近いうちに飲いたいなぁ〜!

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初めまして、このワイン買いましたよ。
スペインワインは、リーズナブルで高品質なワインがゴロゴロしていますね。
それにしても、このスモイという品種の風味はどんなんだろう。
案内文の雰囲気からはネビオーロみたいなワインなのかと想像していますがどうなのでしょう。

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>キケロさん、ブログにコメント、ありがとうございました!
ほんとに見た目、謎だらけのワインですよね(笑)。
スモイ種は、もともとペネデスにどんな黒ブドウ品種よりも多く栽培されて
いましたが、その栽培・醸造の難しさにより、テンプラニーヨ、またカベルネ・ソーヴィニョン、メルロなどの外来品種に取って替わられていきました。
しかし、そうした固有品種を大切に、復活させようと動きがいくつかの小規模生産者の間で起こって、良いワインを造り始めました。
おっしゃるとおり、ネッビオーロに似ています。また、メンシアや、ピノ・ノワールにも似ています。爽やかな赤果実系、中程度の色調、酸度は高いけど爽やか、地中海側の品種とは思えない繊細さ、爽やかさのあるブドウです。
そして、ビオディナミで造るクレイジーなワインです!
私は、ハマリました。。。こちらでも入手困難なんですよ。。。
是非、ご感想伺いたいです!

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