郷愁の地、ガリシアを訪れて その1 TERRAS GAUDA

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12月18日

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今回のガリシアへの旅を一言で表そうとした時、適当な言葉がなかなか見つからない
けれど、敢えて言うなら「mágico」だろう。「魔法のような」という意の言葉だけど、スペ
イン人は「(魔法のように)素晴らしい」という感じで使う。私の中でも単に「素晴らしい」
というのを超越した夢のように素晴らしいことを体験した時に使う認識で、大好きな言葉だ。

ガリシア、この世に存在する緑色が全てあるかのような豊かな緑におおわれた起伏の
ある風景、入り組んだ海岸線で盛んな漁業、引き潮の時に貝を採る猟師たち、こうした
風景が日本のそれと重なって郷愁を誘う、食材を活かした料理、ここ20年で躍進を遂げ
たワイン文化、そして、ガリシアの人々。その土地の人との触れ合いは旅を何倍にも
豊かにしてくれる。それを今までのどの旅より感じることができた旅となった。

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今回訪れた地域はDO リアス・バイシャスにあたる。1980年代以前はまだ、畑面積も
現在の3分の1に満たず、濁りワイン(vino turbio)が主に飲まれており、ブドウも質が悪く、
あかぬけない白だったという。アルバリーニョ種も、質が悪すぎて、保存性の問題でワイ
ンがガリシアを出ることは難しかったというほとだ。ほとんどが自家消費用のワインだった
当時、1980年代に入って、農家を組合員とした協同組合が発足、彼らを中心にワイン革
新が始まり、1988年DOを獲得。
使用許可されている品種はアルバリーニョ、ロウレイラ、トレイシャドゥラ、カイニョ・ブランコ、
メンシア種など12品種あるが、生産されるワインの90%はアルバリーニョ。

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リアス・バイシャスといっても、一箇所に集まった地域ではなく、異なる特徴の5つのサブ
ゾーンに分かれている。
① Val do Salnés – ほとんどのアルバリーニョがこの地域で造られるといっていいほどワイナ
リーが集中する。リアス式海岸沿いのDOリアス・バイシャスの中心地。
② Condado do Tea – 最も内陸に位置、ポルトガルとの国境にあるミーニョ河上流の川沿い。
丘陵が多い。規定 : アルバリーニョ、またはトレイシャドゥーラ最低70%。
③ O Rosal – DOで南西端に位置、ミーニョ河が大西洋へと流れ出る河口周辺。
規定 : アルバリーニョ、またはロウレイロ最低70%。
④ Soutomaior – ポンテベドラから南に10kmほどの小さなサブゾーン。
アルバリーニョ単一白のみを造る。
⑤ Ribeira do Ulla – ウヤ河沿いの新しいサブゾーン。内陸に行くほど深い谷間になる。
主に赤ワインが造られる。

到着当日は海沿いの村Baionaに泊まり、翌朝O Rosalへ。

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Terras Gauda。
リアス・バイシャを訪れる際には、必ず訪れようと最初から決めていたワイナリー。

3年近く前、アルバリーニョのレベルの高さに感動することになる初めてのワインだった。
当時はこのアルバリーニョ(単一品種ではないけど)、お気に入りでよく飲んだり、友達へ
のプレゼントにもしたなぁ。そんな思い入れがあって、どうしても行きたかった。

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「Terras Gauda」 ラテン語で「Tierras de Alegria (喜びの地)」の意だそう。素敵な名前だ。
ミーニョ河口近くのO Rosalに位置するテラス・ガウダ。1988年創立。創業当時から、
固有・外来品種、土壌の可能性などの弛まぬ研究を続ける向上心旺盛なワイナリーだ。
アルバリーニョ種に関しても、様々なクローン種を分析、病害に強い、最も質の高い種を
特定する研究もしているのだそうだ。
このワイナリーの栽培面積は90ha。
90ヘクタール。
他のDOでは普通にある面積だけど、ここ、ガリシアではとても大変なことなんだ!

「minifundismo (小農制度)」
ガリシアのワイン造りの歴史を理解するには、この制度の存在があったことを知る必要が
ある。大土地所有制度(latifundismo)の反対であるこの制度は、土地などの遺産を長男に
相続するのではなく、子供全員に均等に分け与えることを義務とする制度で、ガリシアで
古くから採用されてきたのだそうだ。その子供がまたその子供たちに均等に分割相続す
ることで、一人が所有できる土地の面積はとても小さくなり、ガリシアの人々は、農業を
しても売るのに充分な量が採れず、自給自足にとどまらざるをえない状況がずっと続い
ていた。自然と土地開発は遅れ、農業は発達せず、生活していくために、一家の主は海
外に出稼ぎに行かざるを得なかった。

それを考えると、なるほど、90haもの大きな土地を所有できるのは並大抵のことじゃない。
すごい。

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そして、ガリシアの代表的なブドウ樹の仕立て方といえば、「つる棚式(pérgola)」。
アルバリーニョの樹は樹勢が強いのだという。その樹勢をコントロールするために、湿気の
多いガリシア、通気性を良くするために、と自然条件の理由もあれば、その小農制度に
より細分化された小さな耕作地を有効活用するため、ブドウ樹をつる棚式に植え、その下で
じゃがいもなど他の作物を栽培できるようにする目的もあったのだそうだ。この旅で、つる
棚の下に野菜畑がある風景、たくさん見た。
日本も、つる棚式栽培が多いんだ。

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そしてさっきのは違くて、テラス・ガウダの仕立て方は珍しいことに垣根づくり。
このワイナリーでは、ブドウの房が葉の下に垂れる形になるつる棚は、ブドウに日光が
充分に当たらないとして、この仕立て方を採用しているのだという。面白い。
土壌や立地条件など、様々な要素が加味されているのだろう。

土壌は、少しスレートに覆われているのだそうだ。リアス・バイシャスでは主に花崗岩質
なので、テラス・ガウダのは特殊だ。ポルトガルの北部からちょうどテラス・ガウダの畑を
通って、その地層が存在しているのだそうだ。
酵母も畑からの自然酵母(Pie de cuba)を使う。DO内で最初に使用。

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樽醗酵をするEtiqueta Negra用のオーク樽。
30ユーロするこの白。一度、飲んでみたいねぇ。

生産量も増え(現在、約120万本)、どんどん成長するテラス・ガウダ。
でも品質維持は怠らず美味しい白を楽しませてくれる。

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名称 : Terras Gauda 2008 (写真左)
品種 : Albariño 70%, Loureiro 20%, Caíño Blanco 10%
産地 : DO Rias Baixas
生産者 : Bodegas Terras Gauda

名称 : Abadia de San Campio 2008 (写真右)
品種 : Albariño 100%
産地 : DO Rias Baixas
生産者 : Bodegas Terras Gauda

左は3品種のブレンド、右はアルバリーニョ100%、共に、フルーティで酸がキレイで、
スッキリ、3品種ブレンドのほうは特に複雑さもあって、大好きだ。
カイニョ・ブランコ種は、テラス・ガウダが復活させ、DO内の生産量の70%を造っているそうだ。

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案内してくれたラケルさん。ありがとう!

さて、ちょっと到着した昨日の話を。
初日夜、21時頃宿に到着した私達は、一日目の夜を美味しいアルバリーニョとタパスで
楽しもうとBaionaの中心地を歩いていたら、陽気なお兄ちゃんが薦めてくれた。

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Acuarera
c/Misa Ventura 53
Baiona (Pontevedra)

なんてことないバル、スペインによくある色んなサッカーチームのマフラーが所狭しと垂れ
ているバル。でも、そこで出会ったガリシア人たち。とてもフレンドリーで、オープンで、
楽しい人達。船乗りのお父さんホアキン、海の話や色んな話、止まらない、その奥様、
スペイン語を話す東洋人は生でほとんど見たことがないようで、私が少しでも汚い表現を
使おうものなら大喜び(笑)。バルのオーナー夫婦、ベネズエラの奥様ピリとガリシアの
旦那フアン・ペニャも楽しい人達。うちの旦那も調子に乗り(笑)。

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しまいには、彼らの親戚が営むバーへとなだれ込み、最後の一杯。とはいえ優に2時間は
経つところがスペイン。旦那たちはカードゲーム始めるし、楽しい奥様は、酔っ払い気味で
「メイド・イン・ジャパン!」を連発、「いやぁ、あんたのお陰で今夜は楽しいわよぉ〜♪」。
いやいや、こちらこそほんとに楽しかった!

のっけから、ガリシア人のイメージが覆され、旦那も私もちょっと驚き気味。
ガリシア人のイメージは、閉鎖的で、ガリシア人であることに過度に誇りを持っている、と
ネガティブなものらしい(失礼)。
でもそれ、違うっぽい。そんな嬉しいイメージ違いを、残りの滞在で更に体験していくことに
なるのだった!

このブログで、今年最後かな。
最後に、船乗りホアキンさんが強く勧めてくれた場所へ。
Monte de Santa Tegra
標高343mの山に登ると見える。

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大西洋とミーニョ河口が融合する場所。

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豊かな水をたたえて流れ出る広大なミーニョ河口、大きな波を繰り返し運んでくる
大西洋、河の向こうにはポルトガルが見える、かつてケルト族の地だったガリシア、
ケルトの十字架を背に緑の大地が見渡せる。しばらく言葉が出なかった。
大自然の前に、人間はちっぽけな存在だ。
そんな偉大な自然の風景と共に08年を終え、新たな気持ちで09年を迎えようと思う。

私のブログを時間割いて読んでくれてありがとう。
また来年も、色々なワイン、色々な思い、みなさんと共有したいです。
どうぞよろしくです。
皆様にとって09年が幸多き年になりますよう!

No encuentro una palabra adecuada para expresar de este viaje a Galicia,
pero creo que es "mágico". Por la cultura tan rica, por la gastronomia tan
exquisita, por los maravillosos vinos, por la gran naturaleza, y por la gente.
Tuvimos tremenda suerte en conocer a los gallegos abiertos e afectuosos.

Terras Gauda - Primer albariño que me enamoré hace años, por eso quería
visitarla sin falta. Me gustó mucho la visita gracias a Raquel, y su blango
sigue siendo uno de mis favoritos albariños.

Gente que conocí en Baiona - Hola a todos que nos conocimos en el bar
Acuarera! Muchísimas gracias por un rato super divertido y agradable
conversación. Nos encantó el encuentro y nos sorprendió por el abiertos
que sois! Por cierto, la lotería,,, no nos tocó,,, pero no pasa nada!
Aun queda la del Niño! Os deseamos a todos que el 2009 sea un año lleno
de felicidad y salud. Bo Nadal e Feliz AniNovo!!

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TITLE: ブログを読ませて頂いて。ガリシアから。
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ガリシアのサンティアゴ・デ・コンポステーラに在住している塩澤 恵と申します。私は、ガリシア州の対日業務のコーディネートをしており、ガリシア州政府の観光文化プロモーションを日本で行なう他、ワインや魚介類缶詰の対日輸出のコーディネートもしております。たまたま、Terras Gaudaは友人がいる会社でもあり、日本でのプロモーションをお手伝いしていることもあって、日本でのTerras Gaudaの売れ行きをインターネットで見ていたところ、このブログを見つけ、興味を持ち、拝見させて頂きました。とても内容の濃いプロフェショナルな、それでいて温かいブログですね。私は、日本の方たちに、まだリオハのワインほど有名ではありませんが、アルバリ—ニョやゴデジョ種などのガリシア産の白ワイン、また、メンシア種の赤ワインなど、たくさん試して頂けたらと思い、日々、仕事をしております。もし、またガリシアへ来られるような機会がありましたら、ぜひ、ご連絡下さい。あまり知られていない場所で素晴らしい町や村がたくさんありますので、ご案内させて頂きます。

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>塩澤恵さま、ご丁寧にコメントを
ありがとうございました!
是非、ガリシアに行く際には、お会い
できるのを楽しみにしています!

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